皆川博子作品精華 幻妖幻想小説編
皆川博子作品精華 幻妖幻想小説編 / 感想・レビュー
*maru*
皆川さん35冊目。「庭は、寝がえりをうって、背をむけた。─風─」「指は、あげましたよ。─文月の使者─」「水の面に、手が、咲いている。─あの紫は─」「そこは縫わないでと頼んだのに、縫われてしまった。─結ぶ─」皆川レビューで何度も書いているが、読み手の心をぐっと掴む冒頭の一文の素晴らしさよ。既読は11。皆川さんの作品は読むたびに形や色、匂いが変わる。読めば読むほど深みが増す。既読も含め今回のお気に入りは『風』『水の女』『桔梗闇』『メリーゴーラウンド』、書き下ろしの『ひき潮』でした。
2020/02/20
マリリン
庭は寝返りをうって背を向けた...。最初の作品『風』の冒頭の言葉。3㌻の短編だが、この言葉に惹きこまれた。殆どの作品が1980年代から90年代にかけて雑誌掲載のもの。二段組で読むのに時間がかかるのを覚悟したが、独特な世界を楽しめた。『たまご猫』と『をぐり』は怖いけれど惹かれた。『冬の宴』も魅力的。作品が蚕の糸を絡ませたような連鎖感があり、短編が一つの作品として創り上げられたような感じ。既読の作品以上に印象深い、皆川博子作品精華。他の作品も読んでみたい。
2019/07/14
芍薬
こんな文章たちが存在するから読書は止められないのです!大好きな「空の色さえ」や「風」が収録されていてご機嫌なのはもちろん「あの紫は」や「流刑」「隠れ窓」にはうっとりします。 作品解説の最初にに東雅夫さんが“当惑と驚愕、そして会心の微笑み”と仰ってますが正に皆川魔界。 帰りたくなかったです。
2012/05/09
たろさ
何年も前に数ページで挫折した『開かせていただき光栄です』の著者さんとは知らずに夢中になって読んだ。「特にこの話が…」などとは決められないくらいどれもこれもよかった。犬も猫も好きなので「猫の夜」は痛みがあり、「U Bu Me」は田舎の周りになにもないような古い家が苦手になりそうな怖さがあった(笑)十分すぎるほど大人なのに「子供が見聞きしてはいけないような」ドキドキ感があるのは何故でせう?しばらく活字離れしていたけど、この本に妖しくも愛しい世界に再び迎えてもらえたような気がする。
2017/03/30
eirianda
時代小説が苦手な私。おまけに日本の古典文学に疎い。それではいけないと思い、色々トライするのだが、苦手意識が邪魔して頭に入らない。『死の泉』を読んだ後なので、同著者に期待するものが違ったかもしれない。世代的にアングラ演劇に影響を受けているのか。そのように設定が現代よりになると、結構嵌りページが進んだ。きっと食わず嫌いの説経節や歌舞伎の知識を増やすと、もっとこの本の魅力がわかるのだろうな。(落語の景清は知っているが……それではダメみたい)どうも自分の趣向が海外物に偏っている。その偏りを反省しながら読んだ。
2015/12/11
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