日出処の天子 第4巻 (白泉社文庫)
日出処の天子 第4巻 (白泉社文庫) / 感想・レビュー
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(再読)古代日本国家の創始期を舞台に、全く新しい厩戸王子(後の聖徳太子)像を描く歴史巨編 第4巻 ---偶然出逢った物部の姫・布都姫に心奪われる毛人。毛人を想い煩い悪霊にとり憑かれる厩戸。互いに遂げられぬ恋に悩む2人の行方は・・・。 悪霊と対峙し、自らの心の内と闘う王子の葛藤を、それは美しくもおどろおどろしい筆致で表現する山岸さん、凄すぎます! 「そなたは私の何なんだ」懊悩する王子が、図らずも雨乞いの儀式に立ち向かう時、すれ違っているはずの王子と毛人の気の共鳴に、身震いしそうでした。なのに、毛人・・・。
2014/10/05
井月 奎(いづき けい)
古代、神へ捧げる人は足を折られ、目をつぶされたそうです。そこから逆説的に体の不自由な人を神に親い者とみることもあり、また心身の一部が不自由ですと、他の器官が尋常ならざる才能を発揮することもあります。厩戸皇子はおもねる、調和をとるという意識が欠損しつつも人への思いは純そのものですので、日照りで人死にが出ることを心配しながらも、自らの恋の行く手を阻むものを手に掛けることも厭いません。自らの生まれ、才能、そして心深い思いがいびつに構成された人なのでしょう。大きな才能と力は厩戸皇子みずからも傷つけるのです。
2019/10/12
シフォン
凶作に日照りで不作が続き、疫病や餓死といった不穏な空気が漂う巻。厩戸王子も悪霊に取り憑かれて体調不良が、続いていたが毛人が追い払う。しかし、毛人は物部の出で石上斎宮の布都姫を思う気持ちが膨らむばかり。布都姫に嫉妬する厩戸王子。一方で、厩戸王子を助けることができるのは毛人だけ、今後の展開が気になります。
2021/11/10
またたび
厩戸王子を奈落の底に突き落とす毛人。二人は深いつながりがあって、離れない運命めいたものを感じるのに…。毛人の純粋さがまた切ない。毛人がいないと完全にはなれぬと感じ王子。嫉妬の闇は深まるばかりですね。
2013/11/03
しらたま
今回の表紙絵も最高。少女マンガのメインキャストの王道は、複数の相手から思いを寄せられること。毛人がまさに、そして鈍いところも。久々に毛人に会えた厩戸の表情のかわいいこと。そして自分が彼をそこまで欲するのに相手は違うと気付いた絶望、不憫。雨乞いの件での二人の諍い(痴話ゲンカ)と、厩戸の超人的な活躍がすさまじい。それも、無意識の毛人の力を借りてこそできたことなのが、辛いですね。
2017/05/13
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