日出処の天子 第6巻 (白泉社文庫)
日出処の天子 第6巻 (白泉社文庫) / 感想・レビュー
井月 奎(いづき けい)
古代の政治と宗教の両立したありようは時に残酷な状況をつくりだします。為政者は人の心の機微を知りつつも、そこに思いを持ち込んではいけませんし、宗教者は人の暮らしの様子を知りつつも安寧を第一に願ってはいけないのです。個人の思いと公人としての思いが一致することはけして多くありません。その際、どちらを優先することに悩んではいけないのです。出来ぬことを望まれながら、それをかなえつつ傷つきほころぶ心身は痛みを伴い、血を流すのです。この物語での厩戸皇子がいまは仏の国で微笑んでいてくれたら嬉しいのですけれども。
2019/10/12
またたび
一瞬でもうまく行きそうな二人だったのに…。淡水にも感情はありますよねと思いました。嫉妬や画策が渦巻くお話だけど、王子が刀自子の子供を可愛がるなど、純粋な毛人への思いも垣間見れてなんとも切ない展開でした。
2013/11/04
しらたま
笛の件で毛人と少し持ち直せたり?大姫に惚れ直されたり、刀自古との縁を感じたり。毛人の力の謎が分かりかけたり。独立の際も最上の方法でとは、さすが。斑鳩での気の置けない日々がずっと続けば・・・より近しくなれたと思ったらまたもや布都姫に心を持って行かれ。嫉妬に囚われた厩戸は非常手段に。でも何度も鉢合わせしてしまうのは、絆の強さゆえ? でも、何度女装したことか!まさにいろいろ超越してます。
2017/05/16
punto
インフルエンザになったので昔好きだったマンガを再読。布津姫のどこがいいのかなぁ、とも思うけど、とにかく好きになっちゃったので仕方ないってことで突き進むしかなさそうです。布津姫がいなかったとしても、まだ王子の恋のライバルとしては刀自古が残っているわけで。昔はもう少し厩戸王子にシンクロして読んだ気もするのですが、今回は年を重ねたからか、単に体調不良のせいか、もう少し俯瞰的に読みました。誰かは幸せになってほしかったけど、だれもならないんだものなぁ。
2020/01/04
白義
いかに神に選ばれたような才、超越性を持ちながらも、人としてこの世に投げ込まれた以上「関係の絶対性」その拘束からは逃れることはできないのかと思わせるかのような、本当に宿業のようなものを感じる展開。個人には何も出来ず、神仏すら前面には出れず、巨大な政争すらちっぽけにするような関係の悪魔的巧知、数奇な展開。時折見せる王子のただ人のような表情が印象深いだけに事態の悲惨さがより伝わる
2013/10/26
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