KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

日出処の天子 第7巻 (白泉社文庫)

日出処の天子 第7巻 (白泉社文庫)

日出処の天子 第7巻 (白泉社文庫)

作家
山岸凉子
出版社
白泉社
発売日
1994-03-01
ISBN
9784592880578
amazonで購入する

日出処の天子 第7巻 (白泉社文庫) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

月島雫

あまりに衝撃が大きくてしばらく感想など書けませんでした。 そうくるか。王子の幸せを願わずにはいられない。ずるがしこくて嫉妬深くてすぐ泣くから女は嫌いという王子。でもその嫌いな女みたいなことをしてしまう王子がいじらしい。どうして本当に好きな人のことは思い通りにならないんだろう。番外編で上宮一族の最期まで描かれていてすっきりしました。読んで本当に良かった。これが1番の感想です。

2014/02/28

井月 奎(いづき けい)

もちろんいくら私が脳内お花畑と言って、この漫画の内容がフィクションであることは理解しています。しかし梅原猛の著書や考察は他の学者の眉をひそめさせ、折口信夫が直観的に古代の神々のあり方を解いた考察は、師の柳田国男に否定されます。歴史学や民俗学というのは資料や歴史的事実も当然大切ですが、この漫画のような想像や思いの具現化も有用なのだと思います。行き過ぎれば妄想、ご都合主義に堕してしまいますが、芸術家の深い思考、仏教でいうところの阿頼耶識まで到達した思いは古人に彩をもたらせます。私は斑鳩の風を確かに感じました。

2019/10/12

またたび

ついに最終巻。親子関係に苦しみ、恋も実らず、自分の超越した力が無力だと思う厩戸王子には胸が締め付けられた。ラストの「無駄な事だとわかっていても、それでも私は生きていく。」に吹っ切れた王子を感じた。かなり久しぶりに読んだが改めてこの作品は傑作だと思った。ただ、同じ男として生まれてきたからひとつになってはならぬということだという毛人の言葉は今の時代なら少し違うものになったのかな。後半の「馬屋古女王」は恐ろしい。王子の予言通りに絶滅する子孫。王子の生き写しのような馬屋古に因果応報を感じずにいられなかった。

2013/11/05

白義

誰よりも超越していながら女々しい厩戸王子が、存在の承認を与えなかった母を憎み、女を憎むのは同時に極めてもって回った自己嫌悪でもある。究極のナルシストに見えて、自分の反面を否定しているからの「不完全」というやつだろう。全能の力という言葉で毛人に誘いをかけるのも、この期に及んでその力でしか他人の心に迫れぬ悲しさが見えて哀れで辛い。そしてそのような救われぬものに救いを与えるはずの神仏すら、彼は醒めた自意識と冴えすぎた知性、そして全てを喪った底無しの虚無感で拒絶する。これは人類の業ですらある

2013/10/26

しらたま

河上娘が不憫すぎ、厩戸の言葉さえなければ。誰かを真剣に愛することができれば、他の者にも冷酷にはなれないと思う。毛人の言うように、「実は自分自身を愛している」だけだったのかも。毛人の言葉が説得力を持って響くのは、若者より熟年の方が多い気が。美郎女に遣隋使を語る厩戸のシーンが美しく、最後のページは今でも涙・・・ 「馬屋古女王」に描かれる上宮王家ののちの運命、まさに馬屋古はその象徴であり使者。王家の崩壊を望んだのは山背か厩戸か。凡人には納得できないことが多いけれど、何とも印象的な作品でした。語彙の無さを痛感・泣

2017/05/18

感想・レビューをもっと見る