ビリーの森ジョディの樹 第2巻 (白泉社文庫 み 2-18)
ビリーの森ジョディの樹 第2巻 (白泉社文庫 み 2-18) / 感想・レビュー
ぐうぐう
小説でも漫画でも、遺稿はいつも生々しい。今巻を読みながら、手塚治虫の『ネオ・ファウスト』を思い出した。手塚の死後に刊行された単行本に付けられた、病床で描いたと言われる鉛筆による下書きのネームは、弱々しく線が歪んでいるがわかる。それが、病いを押して原稿に向かった手塚の執念を感じさせるのだ。三原順の遺稿『ビリーの森ジョディの樹』は、さらに生々しさを覚える。完成原稿が途中から下書きになるのではなく、ペンが入ったコマと下書きのコマが混在する原稿は、その歯抜けの状態がなんとも痛々しいのだ。(つづく)
2018/07/22
かっぱ
第二巻は遺稿となった「ジョディの海ビリーの樹」と「番外編ビリー」で構成されている。ビリーとジョディだけの秘密が周囲の人々によって少しずつ暴かれていく。ジョディが眠る海の見える病院。そこへと向かうビリー。とうとうビリーは現実世界ではジョディには会えず仕舞になってしまったけど、ジョディに聴かせたかった曲が入ったテープは夢の中で届けることができた。その思いはきちんとジョディの心に伝わった。この作品も所々がラフな下書きだけのコマで埋められているが、アシスタントの方々によって可能な限り復元され、読者へと届けられた。
2018/09/02
kujira
ビリーは幸せだったのだろうか。彼ではない私が、私自身のものさしで彼を幸せだの不幸せだの計るのは間違っているとは思うけれど、彼が命を手放すその瞬間まで幸せであってほしい、と思った。この物語の続きは、黄泉ケットに行けば読めるのだろうか。あの世に行っても読みたい本やマンガが山ほどあるなんて、本読みというのはなんと難儀な趣味であることか。
2011/10/19
ゆきえ
三原順という人は一つのテーマを何作もかけて執拗に描き続けている気がする。違う舞台、違うキャラクター、だけど子ども達は同じ事を思い続ける。無自覚に犯した(犯された)罪は罪なのか、赦されるものなのか、どうやって償えばいいのか。マックスやビリーが無自覚に犯してしまった殺人に限らず、些細な言葉、拒絶、無理解。取り返せない出来事を永遠に悔やみ続ける主人公達。だからこんなにも読んでいて引きずられてしまうのではないだろうか。
2010/12/17
本夜見
深い森の様な静けさをまといながら 絡まり合う想い。夢の中でだけ逢えるのは幸せなのか?死んだ筈のビリーの生存が明確になった所での絶筆が残念すぎる。2巻になって いきなり原稿が不完全になってしまったのが悲しみを増幅させる。…もっと早く読んでおくべきだった。小・中学生の時に三原順は難解だと感じ、以来敬遠してしまってたのが悔やまれる。
2011/11/07
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