櫻の園 白泉社文庫
櫻の園 白泉社文庫 / 感想・レビュー
匠
桜に囲まれた丘の上の女子校が舞台。チェーホフの『桜の園』を毎年上演する演劇部部員たちを中心に、少女から大人へと成長する過程で避けては通れない性の問題や劣等感、恋愛模様が描かれていた。女子校は自分にとって未知なる世界だけど、きっとリアルだったんじゃないだろうか。女子だけの会話、男子への気持ちのそれぞれやすれ違い。結婚を控えた卒業生でもある姉の大人的な言動や、交際中の男子の描写が彼女達とうまく対比されていて面白かった。27年近くも前の古い作品だけれど、思春期の想いはいつの時代でもそんなに差はないようだ。
2013/10/03
buchipanda3
久しぶりに再読。チェーホフの「桜の園」を読んだので続けてこちらを。初めてこちらを読んだ時は、その戯曲は未読だったが、読み終えてからこちらを読むと、配役だったりセリフなどをあれこれと繋げて思案するのが楽しかった。実際、そこまでリンクしているわけではないのだと思うが。だけれどどの話も、まだ自分というものが掴めていない覚束ない心持ちに揺れるというところは同じと感じられた。そして何かを自覚した彼女たちの姿に素直に晴れやかな気持ちに満たされた。桜が舞う中で、志水が杉山に気持ちを言葉に表される場面が良いなあと。
2022/04/10
すみの
今作では演劇部女子高生4人の揺れる心の内を描いたもの。創立祭にはチェーホフの「櫻の園」を上演する演劇部。そして彼女達の学園を「櫻の園」にも例え、それぞれの親友、友人、恋人、想い人である大事な相手との出来事を「花冷え」、「花紅」、「花酔い」、「花嵐」と桜を連想させる副題で描いている。女子は女子でそれぞれ夢や希望を持っているが、人間(自分が意識する相手)に対する比重が男子よりも大きいような・・・それは気のせいかな。でもそいうことを真剣に思い悩むあの時間が愛しい。巻末、中原俊監督による解説は丁寧で納得。
2014/09/16
はるき
自分が知らない世界に入り込んでしまった・・・・。まるで二日酔い。透明な膜で覆われた小さな世界。
2018/09/29
こりんご
《桜の園》と呼ばれる女子高の演劇部は毎春チェーホフの《櫻の園》を上演するのが伝統になっており、その演劇部員たちの心模様を描いた4編。大人にはなりきれないけれど子供のままでもいられない頃の女の子ってこんなだったかなぁと、当時の自分を振り返りながら読んでた気がします。その頃は絵の雰囲気があまり好みじゃなかったのでほとんど読まない漫画家さんでしたが、大人になって数作手にしてみてやっと追い付けたのかもしれないと感じました。
2013/08/02
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