黒鳥 (白泉社文庫)
黒鳥 (白泉社文庫) / 感想・レビュー
リッツ
この作者のバレエ漫画は1つ読むと他のも又読みたくなり再読。表紙たまりませんね~特に目力!惚れ惚れします。憧れの人と夢のように結ばれそこから彼女の苦悩が始まる。ルーツに帰り自身を含めて全てを悟った彼女のブラックスワン、短いシーンなのに圧倒された。他の収録作品もその昔読んでドキリと心に残ったものばかり。人間の業の深さや残酷さ、自分の弱さ故身近な弱者を巻き込みながらそれを愛とすり替えたり…。時に読者は逃げてきたものを突きつけられ怖くなるかも知れない。でも認めるところから始めればきっと変われる…改めて凄い漫画家。
2017/05/15
空のかなた
4つの短編。どれもが女の情念、見てはいけない心の内を見事に描くのが山岸凉子さんならでは。最初の黒鳥では、白鳥の化身のようなマリアが、嫉妬や老いに逆らえない中、心のバランスを崩した後に踊る一度だけのブラックスワン。凄まじい迫力と眼力。映画のよう。他の3編も、女の過去や決断が幸せか不幸せか、と簡単には決めつけることなど出来ない展開に考え込んでしまう。特に父親からの性的虐待を扱った「しじまの底」は、扉絵の少女の後ろ姿から伝わる余韻が素晴らしかった。静かに静まり返ったような、心が死んだような、夜の底。
2021/02/21
たまきら
実在したバレリーナを題材にした話です。白鳥を踊ることで有名となった女性が、授賞式に黒鳥を踊る・・・。この話は短編なんですが、女性の精神性と肉体の衰え、男性の女性観、アメリカンインディアンの神秘性などが複雑に絡まっていてうならさせられます。しかし・・・実在の人でこういう話を作っちゃうんだからすごいなあ。
2017/06/22
にゃも
再読だった。山岸さんの作品は、怖いもの見たさ的な魅力がある。
2021/01/13
フェリシティ
古本屋さんで購入。女の心に秘む闇をテーマにした短編集で、4作とも素晴らしい出来映え!思わぬ掘り出し物に嬉しくなっちゃいました。「恨んではだめ、嫉妬してはだめ」と強く自分を戒める人ほど、その内面に燃えるような感情を秘めているのだなぁ。山岸さんの繊細で美麗な絵が恐ろしさをより引き立てていた。「貴船の道」の文学性に脱帽。不倫の末後妻に収まった女が、自分も夫に不倫されるという話。自分の身にふりかかって初めて他人の苦しみを理解する。真理だわぁ。「鬼子母神」は父親を表札に喩えたり、兄の汗を視覚化する発想が良かった。
2015/12/22
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