つるばらつるばら (白泉社文庫)
つるばらつるばら (白泉社文庫) / 感想・レビュー
kaoru
大島弓子さんは現在ほとんど漫画を描いていないが大好きな漫画家。25年以上前から大人の幼稚化、家族の崩壊、LBGT、草食系男子などに着目してきたその先見性に驚く。『つるばら つるばら』はLBGTとして生きる少年の一生をSFタッチで描き『夏の夜の獏』では精神年齢が高すぎる8歳児を登場させる。今の猫ブームすら予言していたのではないか。かつては登場人物に思い切り語らせていたのがやがて絵もセリフもそぎ落としたようにシンプルになった。萩尾望都さんは「大島さんに『ツァラストラはかく語りき』を漫画化して欲しい」と→
2023/06/23
emi
ふわふわタッチの昔の漫画か〜と軽い気持ちで読んだら、かなりディープだった。子供の頃から繰り返し見る家の夢。主人公の継雄がたよ子という女性の生まれ変わりだと信じて、夢の家を探す「つるばらつるばら」を含む五つの短編集。性同一性障害、精神年齢の高い子供、ダイエット、ドロップアウト、天才小学生の女の子と大学生の恋。どれもいちいちハードな設定で、まさに「現実と想像の落差に悩む」人たちの物語。見えてくるのは本人のひたむきさと、周りの大人たちの冷たさ。落差は現実が想像を味方してないから多分生まれる。考えさせられる作品。
2015/08/02
たまきら
表題作が好きでした。ちょっとオカルトで、ちょっとSFで、ちょっとクロスジェンダーで。このどことなく頼りない、ふわふわとした存在感に一時すごく夢中になりました。そして今でも取っておいてあるんですからねえ。
2019/05/31
阿部義彦
過去に読んだが新たに「つるばらつるばら」を読み直すとまさしく今のLGBTの総てが組み込まれていて著者の無意識過剰の先進性には舌を巻いてしまう。主人公継雄は、最初は変な夢を見るGとして登場するが歳をとるにつけ、少女雑誌を読みふけりT女性の兆候を見せ始める、学校ではオカマ扱いをされるが、自殺未遂を機に前世の記憶が入り込み、T女性として夢で見た家で待っている筈の伴侶を失った男性に、その伴侶の生まれ変わりとして恋焦がれる様になる。恋と友情そして男色もそれなりに体験して近未来からさらにその先までの幕は開く。
2023/09/10
くろうさぎ
「四月怪談」に引き続き大島さん、2冊目…。短編集ですが、どれも深い…。そしてすごく好きです。描いているテーマは重いのに、どこかふわふわと漂っているように思えるのは、線が細くて触れると壊れてしまいそうな可愛らしいキャラクターだからでしょうか?全部好き…!としか言えないほど魅力溢れる作品ばかりでした。
2019/01/12
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