アデレード: そらとぶカンガルーのおはなし
アデレード: そらとぶカンガルーのおはなし / 感想・レビュー
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
サーモンピンクを基調にした愛らしい絵本。翼を持って生まれたカンガルーの女の子は、広い世界を旅してみたいと願い、パパとママに別れを告げます。空の上で飛行機乗りと友だちになり、冒険が始まります。『すてきな三にんぐみ』より2年早い1959年の発表。軽やかな線と可愛らしい造形は、アニメーションになっても人気を呼びそう。上品な色使いが魅力の『すてきな三にんぐみ』や、大胆な構図でシニカルな世界を描いた『月おとこ』とも異なるテイスト。多彩な作風を持った作家さんなのだと認識を新たにしました。日本語版は2010年9月初版。
2016/01/17
Kawai Hideki
突然変異的に生まれた、翼のあるカンガルー、アデレード。ある日、家族の元を離れて、パイロットと世界中を飛び回る旅に出る。いろんな国の珍しいものを見た後、パリに落ち着くことを決めるが、一文無しで、タクシーの運転手にも罵られる有様。そこを、お金持ちに救ってもらい、その人の劇団でショーに出ることに。人気を博すが友達のいない寂しさが身にしみる。そんなある日、火事で煙に巻かれた子供たちを身を挺して救ったために、大けがをしてしまうのだが・・・。なんとなく、ぞうのババールを彷彿とさせるストーリーだった。
2016/12/05
とよぽん
ウンゲラーの絵本にしてはほんわかした感じの表紙。物語も翼を持ったカンガルーの冒険譚だが、「かわいい子には旅をさせよ」とは逆で、かわいい子自身が旅に出たいと言う。アデレードはいろいろなところへ行って見聞を広げる。ウンゲラーがフランス人だからか、後半はパリでの出来事が中心になり、起承転結のパターンよろしく大団円でおしまい。これは、ジェンダーに関する絵本としても優れているのではないかと思った。
2024/05/11
tokotoko
アデレードは、カンガルーの女の子。背中に羽根をつけて生まれてきました。やがて、羽根と共に強い意志も育っていったアデレード。ある日、旅に出る!と言いだし、両親を泣かせます・・・でも!決行!!・・・さて、どんな旅になったでしょうか?小さい頃、両手を羽根に見立てて、坂を駆け降りた訳者さんがきっと懐かしい思いをいっぱい込めて翻訳された、アデレードの半生。繊細な絵と共に、追いかけてみてください。
2015/06/14
けんちゃん
☆勝手にウンゲラー祭り〜細々と開催中☆ 空飛ぶカンガルー、アデレード。スタートは「空飛び猫」を思わせますが、読み進めてみれば、これはウンゲラーの得意技。人間と仲よくできる不思議な動物、新しい話題に飛びつく人間の性…ウンウンとうなづきながら読みました。オレンジを貴重にしたイラストは、優しく、かわいらしくまとめられていて、それはちょっと意外な感じ。池内紀さんが訳されているものびっくりでした。彼のあとがき、短いですがとてもいいです。
2011/03/31
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