ヴァイキングの誓い
ヴァイキングの誓い / 感想・レビュー
NAO
この話には、幾つかのテーマがある。どこにも自分の居場所がなくなってしまった少年の、自分の居場所探しの旅。ヴァイキングの暮らしぶり・宗教観・倫理観と、スカンディナビアからバルト海沿岸に居住していたヴァイキングが東南に進出し、その土地度地の民族と混じり合い、やがては自分たちの宗教を捨てて新しい国家体制を作るまでの歴史。異なった宗教を信仰する者同士の友情と誓いは守られ得るものなのか、など。主人公をイギリスの少年にすることで、ヴァイキングたちの古いしきたり、東征の様子、10世紀当時のキエフ・ビザンチン周辺の⇒
2019/04/25
星落秋風五丈原
孤児となりヴァイキングにさらわれ、奴隷として売られるイギリスの少年ジェスティンが本作の主人公。「ケルトとローマの息子」に続いて家族との縁が薄く安住の地を持たない運命を担っている。そしてある時奴隷として彼を買った主人トーモッドと強い絆で結ばれる。 物語中、かなり早い段階でサトクリフ作品に繰り返し出てくるテーマ1.自分の居場所探し2.異なる階級/国の人との友情は成立するか?が登場。第一のテーマと第二のテーマの答えを求めてヨーロッパを旅する誇り高く優しい少年ジェスティンの人間的成長を描く歴史ファンタジー。
2002/10/17
うしこ@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)
ヴァイキングにさらわれ、奴隷として売られたある少年の物語。10世紀末から11世紀初めにかけてのヨーロッパを舞台にした歴史ファンタジーです。ちょっと中だるみしたかな?とも感じましたが、全体的には一つ一つのシーンが丁寧に描かれていて面白かったです。この時代の出来事を全く知らなかったので、知っていたらまた違う面白さがあったかも・・と悔やまれます。★★★★
2010/05/21
myaown
"誓い"に秘められた絆を感じられる物語。主人公は誓いを果たすという絶対の約束よりも豊かなものを手にしたに違いない。それはきっと他の3人も理解してくれる筈だ。何故なら敵対関係より深いものがその中には含まれているから。あまり馴染みのないヴァイキングの有り様が生き生きと感じられるのはサトクリフ作品の詳細な描写がまるでそこで起きている様な錯覚を与えるからだろうか。北欧からロシアは地理的に近いにも関わらず今迄それを意識しなかったので、新鮮な驚きだった。歴史を遡れば影響が無い訳がないのに。自分の世界が広がった想い。
2015/06/21
KiKi
これは面白かった!! この時代のことを正直なところあまりよく知っているとは言い難い KiKi にとっては目からウロコの作品でした。 こういう物語を読むとつくづく KiKi は思うのです。 ああ、KiKi が学んできた歴史って本当に「受験対策のための歴史だけ」だったんだなぁ・・・・ってね。 物語は主人公ジェスティンの回想という形で語られていて、ところどころ記憶が曖昧になったりぼやけたりしちゃっているがゆえに「え~! そんな、期待だけさせてぇ!! もっと深堀りして、語っちゃって~!!」ってなことを
2010/12/13
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