血まみれの月 (扶桑社ミステリー エ 3-1)
血まみれの月 (扶桑社ミステリー エ 3-1) / 感想・レビュー
セウテス
エルロイと言えば、ロマンチックな恋愛と人が道を踏み外す過程を丁寧に描写する作家さんです。この作品も、探偵のホプキンス刑事の恋愛感、犯人詩人の殺人に至る心の内側をしっかり書いています。殺人犯を追うホプキンス刑事と殺人をする詩人の行動が交互に語られていて、話の運びが珍しい作品です。少しずつお互いの関わりが分かって来るようになっていて、テンポが良く緊張しながら話は進む展開は、息をつく暇も在りません。ラストにもう一つ、捻りが欲しいと思いましたが、ある意味天才対天才の対決は他にあまり類がなく、印象的な作品でした。
2014/09/14
藤月はな(灯れ松明の火)
狡噛(PSYCHO-PASS)と衛宮士郎(Fate/staynight)を合わせたような狂気ギリギリの正義感への執着を持つホプキンスシリーズ、第一作目。この物語は男が男に強姦される場面やスカトロで幕を開ける。似たような雰囲気の女性を狙った猟奇殺人をホプキンスは妻子・友人から見捨てられても追い詰め、喰らいつく。頭ホワホワな女性運動家にビンタしたい。そして妻に子供に「生き延びるために」という名目で猟奇殺人を話すホプキンスの過去と詩人が合わさった時にホプキンスが「弟」と呼ぶ場面と輸血された血液の正体に身震い。
2015/12/24
bapaksejahtera
先日読んだ「ブラックダリア」とは異なるシリーズの第一作。天才的な頭脳を持ち長身の刑事が主人公であり、これに対するアンチヒーローとして詩人である殺人鬼が登場する。「ブラックダリア」が実話を元として展開するに対して、本作は同じ猟奇サイコのストーリーながら、人物といい背景をなす成長譚といい、いかにもの作為的な色彩が強い。猟奇性の表現も粗野である。著作としては本作は「ブラックダリア」に4年先行する。この差は作家としての成長を表すと信じたい。
2021/04/25
ツカモトカネユキ
1984年発行。1986年訳発行。作者初期の警察もの。舞台は1982年のL.A.。主人公は、エリートではありませんが、肉体派と思わせながら、自他ともに認める頭脳明晰さを発揮します。当時話題の実在の連続殺人者を思わせる残虐な犯人と対峙します。差別、性倒錯、宗教など様々な主義主張等が折り重なるアメリカの闇の部分を見せながら展開していきます。救われることを期待しつつ、少し外すところが読後感としてよいです。のちの4部作につながる部分もちらほらみられ、期待を裏切る面白さでした。孤独な戦いになる次巻にも期待します。
2022/06/09
go
なかなかの読み応えがあって楽しんだ。文章も主人公の造形も良い。訳者があとがきで書いているように後半少し失速したかなと。でもそれまで楽しかったからいいや。
2018/10/30
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