自殺の丘 (扶桑社ミステリー エ 3-3)
自殺の丘 (扶桑社ミステリー エ 3-3) / 感想・レビュー
藤月はな(灯れ松明の火)
ホプキンス三部作、最終巻。数々の事件を解決するも罪悪感とトラウマ、家庭崩壊、信じたくない事実などで精神がズタボロになっているホプキンス。そんな彼も(警察の権力闘争に抱きこまれた?)カウンセラーからのお墨付きを受け、辞職の危機に追い込まれる。その為、浮気相手を狙い、銀行員を犯罪に巻き込む連続強盗事件を刑事としての最後の事件として挑むが・・・。強盗事件を犯すのはある意味、自分に甘く、人生を舐め腐ったライスとボビーだ。だがその中には比較的まともなジョーもいる事がサスペンス性を掻き立てている。
2024/04/27
bapaksejahtera
昨年読んだシリーズ第一作「血まみれの月」は作為的な色彩が強く猟奇性の表現も粗野で、その後のシリーズ第一作である「ブラックダリア」に劣ると感じた。今回その感想を忘れて本作を読んだが、依然として粗粗しさを感じた。冒頭主人公部長が刑事として優秀ではあるが思入れ強く破綻に陥り易く退職が相当との精神科医の診断を受ける場面。前作が未読であるからよく判らぬが、続いて二組の悪漢の様子が次々と描かれ彼らが銀行強盗を働く場面へと繋がる。テンポが良く飽きる事はない。しかし書名の如き因縁の場所での決着等、作り過ぎの感じは否めぬ。
2022/12/19
フロム
エルロイにしては今一つといった感じ。とりあえずぶん殴っていればとりあえず物語りは展開しちゃう辺り強引さを感じるし、小説の作り自体も古くて型落ち感がいなめない。ただ後のLA4部作の萌芽は本著から十分感じ取れる。とりあえず3作すべて読んだが正直全作ピンとこなかった。
2020/02/23
ツカモトカネユキ
1986年発行。1990年訳第1刷。ホプキンズシリーズ最終巻。前二作の活躍はどこへやら。いきなり精神鑑定から開始。中盤までは、今回対峙する犯人側の物語が進みますが、これまでのような緻密さを欠いた破天荒型。ホプキンズが嵌められながらも贖罪するのが物語の大筋になりますが、前二作との繋げ方はかなり強引です。最終話で強引に締めくくった感じがあり、物語としては謎です。途中の描写、組み立ては、その後の作品に生かされているのでよしとしますが、シリーズとしては、いまいち。のちにどこかに登場してくれれば救われます。
2022/06/20
勉誠出版営業部
ジェイムズ・エルロイの『自殺の丘』を読了。ポプキンズ刑事シリーズの第3弾(にして最終巻?)。こうして全3巻を読んでみると、「正義論」とも相まって話題になった映画『ダークナイト』に先駆けて、正義と悪が不可分であることを盛り込んでいるところに先見の明を感じる(著者の母親が謎の死を遂げたことが密接に関係している?)。
2014/10/19
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