湯呑茶碗
湯呑茶碗 / 感想・レビュー
そうたそ
★★★★☆ 半村良さんの作品であるが、SFでもないし伝奇物でもないし時代物でもない。あるマンションで暮らす様々な家族の姿が描かれる現代小説。それぞれの家族の視点から少しずつ描かれていき、所々で話は繋がっていくのだが、そのマンションでの人々の暮らしが淡々と描かれるのみでストーリーは至って地味である。しかし、タイトルの「湯呑茶碗」というものが象徴するような落ち着きがこの作品には見られる。これも当時老年期にあった半村さんであったからこそ書き得たものだろう。流石のストーリーの運びであると感じた。
2013/05/01
佐藤司
さすが半村良。ややこしい人間模様をさらりと書きながらじっくり読ませる。基本、いい話なので安心して読めて読後感も悪くない。でも、これ何時の何処の話なんだろう。ありそうでなさそうなふわりとしたリアリティに酔いそうになる。出張のお供に時ビール片手にどうぞ。
2022/05/10
izumone
これだけの人物と人生を描き分けられる筆力に改めて感服。1991年の書店のレシートが挟んであった。昔住んでた町の書店を,その時代の空気とともに思い出した。懐かしいなあ。でも,内容は全く記憶になかった。読んだのかも不明。確かに当時の自分には,この作品を味わえるだけの経験がなかったのだ。
2018/09/02
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