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夏の水の半魚人

夏の水の半魚人

夏の水の半魚人

作家
前田司郎
出版社
扶桑社
発売日
2009-02-27
ISBN
9784594058784
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夏の水の半魚人 / 感想・レビュー

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そうたそ

★★☆☆☆ 前田司郎さんの三島由紀夫賞受賞作品。受賞作というだけあって、どことなく純文学に寄せたような作風で面白くないことはないが、他の前田さんの作品に比べると、前田さん独自の魅力には欠けるかなーという感じがしないでもない。小学生の日常が淡々と描かれている作品だが、他の作品とは作風は異なれど、小学生のリアリティを描くのが巧みだと思う。前田さんの描く女の子にも独特の魅力があるなあ。特別美人に描かれているとか、すごく魅力的な人柄とかいうわけではないが、何か惹きつけれられる独特のものが感じられる。

2016/10/11

うしこ@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)

小学5年生のあの夏、突然沸きあがってくる意地悪な気持ちに僕は戸惑っていた・・。理由もなく突然沸きあがってくる負の感情はなかなかコントロールしにくいもの。友人に対してひどいことをしてしまって、頭の片隅では自分が間違っていると分かっているのに、その時はその感情をどうしても抑えることができない。波のように揺らぐ感情が丁寧に描かれていました。こうした経験を重ねることによって大人への階段を一歩ずつ上っていくのでしょうね。酒井駒子さんの表紙も良かったです。★★★

2011/09/13

ミロリ

軽く狂っているお母さんエピソードまでは楽しめたほうだけど、お漏らしや車椅子生活など……ちょっと障害色の濃い感じが重くて、全体的に悲しい印象。小学5年生、高学年の時期は案外こんな風に日々を過ごしていた気がするから、どこか懐かしくて、思い出したくないことも蘇ってきて直視したくなかったんだと思う。食事終了後の食卓で最後を読んでしまうとダメージが大きい。小学5年生って他人の尿と向き合えるものなのか……最後にさらっと引いてしまった。

2014/10/21

R子

小学5年生男児の思考の流れをそのまま文章に写したような書き方だった。主人公は、その場のヒーローになることを誇ったり、悪者になれば絶望したりと単純そうなのに、実はいろんな違和感から目を逸らしたり飲み込んだりしてバランスを保とうとしている。複雑だ。読みづらかったけれどリアリティがあった。

2016/09/22

遠野

小学五年生男子の世界で起こる事柄や感情がやけにリアルに感じられた。ふと意地悪な気分になって話を聞いていないことをわざわざアピールしてみたり、長ズボンを履くことがお洒落しているみたいで恥ずかしかったり、いい人ぶってると思われないように気を遣ったり、恐竜や古代人が好きだったり。なんだかすごく、分かるような気がする。消えたと思っていてもまだ自分の中に在るもの、それに触れられたような感覚。 箱庭みたいな世界の息苦しさと潮風の匂い、海水のような涙の味、痛さと甘痒さが感じられて、少し不思議な読書体験だった。

2012/09/11

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