増補・決定版 ニッポンの音楽 (扶桑社文庫)
増補・決定版 ニッポンの音楽 (扶桑社文庫) / 感想・レビュー
1959のコールマン
☆5。元本は「はっぴいえんど史観」「細野晴臣史観」と揶揄されていたようだが、読んでみるとそうでもない。これぞJ-POP論を見事に成立させた本。しかもマイケル・ボーダッシュ氏が「上手くまとめられない」と書くのを避けた90年代以降も書いてある。そうだよね。渋谷系や小室哲哉の出て来ないJ-POP論なんてあり得ないし。増補版では2015年以降のサブスク時代まで加えてキチンと記しているため、現在の日本、いや世界が抱えてしまった音楽の問題が良く理解出来るようになっている。欲を言えばムーンライダーズを書いて欲しかった。
2023/01/10
ばんだねいっぺい
リアルタイムで聴いた音楽、遡って探した音楽。いろいろと思い出しながら考えながらの読書となった。その時々の牽引者の力量に舌を巻きながらも、結局、何が好きなのかの確認ともなった。やはり、細野晴臣が好きだ。
2024/06/03
九曜紋
「Jポップ以前と以後」を区分し、第一部と第二部構成とし、その歴史と展開を俯瞰しつつも詳述する。第一部を「はっぴいえんどの物語」「YMOの物語」とし、第二部を「渋谷系と小室系の物語」「中田ヤスタカの物語」とする。マニアックな知識を披瀝し衒学的な文章で記述する本書は好悪の分かれるところ。初出が2014年なので現在の音楽シーンの記述は手薄である。思うに2020年代は小室系ならぬ小室圭の時代だ。音楽シーンを背負って立つ圧倒的存在の不在の中、負のイメージを纏ったダークヒーロー小室圭。現在の最強コンテンツは彼なのだ。
2023/02/09
Decoy
購入してから、既にオリジナル版を読んでいたことに気付いたが、読み返してみると、やっぱり非常に面白かった。「リスナー型ミュージシャン」たちが「外」のものを「内」に取り込むことで作られてきた日本のポピュラー音楽の歴史が、ここに来てまったく変容していることが、よく理解できる。それだけに、増補の新章があまりに通り一遍で物足りない…。とはいえ、サブスクの影響やKポップのインパクトの歴史的意味をクリアに説明できるようになるには、もう少し時間が必要なのだろう。数年後の“再増補版”を期待したい。
2023/02/01
静かな生活
REVIEW SCORES 75/100
2024/07/10
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