近代ヨーロッパ史
近代ヨーロッパ史 / 感想・レビュー
夜間飛行
議会制を実現した英や独立を達成した蘭の発展は旧体制の国々を刺激した。18世紀、仏・墺・露の構造変化を伴わない啓蒙専制は反撥を招き体制を危うくしたが、啓蒙思想はサロンを通じて知識人に浸透。それらの思潮や危機意識は大西洋世界全体に広がり、米独立戦争・仏革命を経て19世紀の諸々の革命運動へと繋がる。48年革命では、貧困など社会問題が無視できない政治課題となり、下からの民衆パワーが政治を左右するようになる。文明化への展望は社会主義、民族主義、帝国主義など様々な形を取りながら国民国家を変容させ、戦争へと向かわせた。
2023/09/03
MIRACLE
18・19世紀のヨーロッパの歴史について、産業文明の成立と国民国家の形成という経済と政治の展開という点からまとめた教材(著者は福井憲彦)。歴史の基本は史実という特殊事象を普遍の上に配置することだ。ところが、本書は西欧という一元世界を設定して、その世界内で生起した事象を並び立てているにすぎない。歴史まがいの本である。普遍の上で特殊な事象を考えていなら、例えば、なぜ西欧で産業文明と国民国家が成立し、なぜアジアやアフリカでそれがおきなかったのか(orおきる必要がなかったのか)という問いに答えられるからだ。
2015/08/20
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