怪奇疾走 (ハーパーBOOKS)
怪奇疾走 (ハーパーBOOKS) / 感想・レビュー
Tetchy
父親キングとの共作2編も収録された短編集。ジョー・ヒルは過去の色んな名作から本歌取りをして作品を紡ぐことが多いようで、その中には父の作品も入っている。本書で共作することでキングは父親から自身の作品の衣鉢を継いで伸び伸びと創作してほしいとメッセージを込めたのではないか。そんな本書のベスト作を挙げるとすれば「遅れた返却者」だ。これは本を愛する者全てに読んでほしい物語だ。本がもたらす人生のワンダーを謳った読書家の夢を描いた作品だ。彼の作品を父が読み、また父も触発されて素晴らしい作品を紡ぐ相乗効果を期待したい。
2022/07/03
sin
万華鏡の様に多彩な作品群だ!スロットル/復讐するは…。闇のメリーゴーラウンド/ブロックなブラッドベリ?ウルヴァートン駅/理性的な撤退による自滅!シャンプレーン湖の…/血腥いブラッドベリ。フォーン/銃を持つことを許された弊害。遅れた返却者/本はタイムトラベラー。きみだけに…/女の子は弱き偽善を拒み、現実と云う牙を持つ。親指の指紋/戦争が暴力!階段の悪魔/階段は上りと下りどっちが多い?死者のサーカスより…/刹那的感情の発露。菊/アメリカは被害妄想の国。イン・ザ・トール・グラス/残酷な迷宮。解放/現実と紙一重。
2021/08/04
ぐうぐう
序文で、スピルバーグやスタン・リーなど、作家・ジョー・ヒルを作った父達について彼は語る。その筆頭に挙がるのは当然、実父・キング(と、母であるタビサの名をヒルは忘れない)である。キングからの影響を隠そうとしないことは、ヒルの強みと言える。彼はこう書いている。「小説を書きはじめたころのぼくは、自分がスティーヴン・キングの息子だと世間に知られることを恐れていた。そこで仮面をかぶって、他人のふりをした。しかし、物語は常に真実を告げるーーこれ以上ない真実を」(つづく)
2021/07/02
tom
著者は、キングの息子。キングよりも優れものじゃないかと個人的に思っている。彼の書くものも怖いけれど、キングとどこが違うのかと問われても、答えようがないのがちょっと悲しい。この短編集、💮は「遅れた返却者」主人公は、縁あって自動車図書館で働き始めた。この車には、とこどき借りた本を返さないままにしていた人が現われる。主人公は、そういった人に最上のサービスをする。この短編を読めるだけでも幸せ。この短編に対する著者のコメントは「一冊の本を読みおわらずに死ぬなんて考えるだけでもいやだ」というもの。本当にその通り。
2021/10/18
icchiy
めっちゃくちゃ怖い、めっちゃ怖い、かなり怖い、13コのジョー・ヒル短編集。スーパーナチュラル系ホラー、ヒトコワ系、サイバーパンク系、世界終末系、いろいろなテイストの恐怖を味わえます。初期の父上の作品によく似た風味の物語もありでオールドファンにも受けがいいと思います。しかし、こんな物語よく書けるなぁと感心しまくりの読者体験でした。
2022/10/11
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