否定と肯定 ホロコーストの真実をめぐる闘い (ハーパーBOOKS)
否定と肯定 ホロコーストの真実をめぐる闘い (ハーパーBOOKS) / 感想・レビュー
はっせー
本当にためになった!それと同時に過去をしっかりと検証して前に進む重要性を知ることができた! この本は著者であるリップシュタットさんざアーヴィングさんに名誉毀損で訴えられるところから始まるノンフィクションの本である。アーヴィングさんはホロコースト否定者であり、リップシュタットさんはユダヤ教徒やホロコーストの専門家である。この2人が法廷でホロコーストが存在するか否かを巡って争う。ホロコーストの歴史や重要性、またイギリスにおける名誉毀損裁判の流れも勉強できるので本当におもしろい!
2019/12/04
キムチ
欧州で40年ほど前から煙が出ていたネオナチ、極右の動きが信じられなかった私。小説というより裁判叙事録といった形態の当作品。思った以上にエネルギーと時間がかかり、途中根が尽きて反則の映画鑑賞。勿論、原作に勝るものではなかったけど。やはり4年余の裁判回顧録の重みが凄い。同時にアーヴィングの執拗さ、仮面を被って誤魔化す差別の体質、苛々。被告のリップシュタット教授が語る「自身の意見が誤った形で伝えられるのを黙って聞いているのが如何に神経をすり減らす事か」という下りに想いが終結~グレイ裁判官への望みは『反ユダヤ主義
2022/07/15
Panzer Leader
ホロコースト否定者から名誉棄損と訴えられたアメリカ人歴史学者が、真実をめぐって英国での裁判を描いたドキュメンタリー。法廷が主要な舞台で600頁を超すボリュームでありながら、最後までだれることなく面白く読めた。なれない異国で裁判の準備に4年もかけ、しかも自分の弁護団から裁判での証言やインタビューの受け答えさえも止められた主人公の焦燥感も痛いほど感じられるが、裁判が進むにつれ原告の嘘や捏造が暴かれていく過程は胸のすく思い。
2018/04/09
kasim
ホロコーストが起きたことを否定するなんてあり得ないと思っていたけれど、起きるんですね、そんなことも。歴史学者が否定論者を著書で批判したところ逆に名誉棄損で訴えられる。世迷言を裁判で打破、と要約してしまえば簡単だが、これは丁寧に一つ一つ否定論者アーヴィングの捏造と隠蔽を指摘していく過程を実際に読むべし。ネット上の情報を参照しながら読むと、この裁判関係のYouTube動画には20年経った今も懲りない否定論者が見るに堪えないコメントを書いていて、根の深さを思い知った。
2021/02/24
びす男
真実を守るのはこんなに大変なのかと気が遠くなる。華やかでも、明快でもない。ただ地道である■「ホロコーストはなかった」と語る歴史家に訴訟を起こされ、主人公は法廷に立つ。黙っていれば、史実が歪んだ解釈にひれ伏すことになる■メディアの両論併記には冷や汗が出た。荒唐無稽な論と、まっとうな論を対等に置く危うさ。肝に銘じたい■偏見は理性とかけ離れているから、誤りを証明できないという。だが放置すると、のさばりはじめる。「あらゆる世代が戦っていかなくてはならない」と、著者は言う。600ページの先に、険しい道が続いていた。
2021/11/19
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