砂のクロニクル
砂のクロニクル / 感想・レビュー
クリママ
イスラム革命、クルドゲリラ、武器商人。実在の人名、事件名だけはかろうじて知っている程度の無知と想像力のなさで、このイスラムの世界がどれだけ頭の中で構築できたのかは疑わしいばかりだが、読み始めればその世界に浸り、そして目を上げれば現実に戻ってくることを何回も繰り返す。物語どおりの人はいるはずもないが、信念に基づき戦っている人たちが、世界にはたくさんいるのだろう。日本における幸せなどという価値観が矮小に思える世界に圧倒され、立ちすくむ。
2017/07/06
金吾
イラン革命という日本では想像もつかない事柄が背景にあり戦いの意義を考えさせられます。話のテンポがいいため長い話ですが冗長さは感じませんでした。終の奏はよくわからなかったです。
2022/01/08
ゆう
★★★★★ 80年代末のイラン、イラクをメイン舞台に、ゲリラ、革命防衛隊、そしてゲリラに武器を調達する武器商人。それぞれの信念で生きる3人の男を中心に紡がれる大スケールのクロニクル。各章ごとに視点が変わり、その度に各章の主人公に引き込まれて愛おしくなるぶん、なぜ殺し合わなければならないのかと読み進めるうちにドライな悲しさが増してくる。敵の敵は友かと思えば今日の友は明日の敵。特にサミルの葛藤が苦しすぎる。……日頃から中東の歴史や文化に興味があるので没頭した。できれば日常に中断されずに一気読みしたかった。
2012/03/22
おけば
中古で買って4年くらい放置してた。読んでみたらすごいと思った。少しでも手を抜けば、一瞬で陳腐な内容になってしまうような壮大さ。読んだおかけで、イラク革命について少しだけ詳しくなった気がする。
2014/10/22
再び読書
内藤陳氏が絶賛する船戸氏の最初の書が「夜のオデッセイア」だった。面白いには面白いが、あまりの荒唐無稽な展開に、あきれた感もあった。しかしながら、この本を読んでその思いは吹っ飛んだ。ユダヤ人と比べても決して国家という絆を持ち得なかった民族の心のたぎりが、胸をうつ。島国の日本には、想像すら出来ない感情。結末におけるある意味予想通りの、全滅状態のなか、憤りの咆哮が心を貫く。読むのに時間を費やしたが、生と死の向き合い方や、男の浪漫と無責任さ(命を捨てる)に心が揺り動かされる
2013/02/26
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