蒲生邸事件
蒲生邸事件 / 感想・レビュー
ちょろこ
終盤は圧巻だった、一冊。良かった。主人公の孝史と同じくらい、自分には知識のない時代の事件。あの時代を自分なりの矜持で生きた人たちの思いをミステリを通じて教えられた時間だった。未来を歴史を知っているからこその思い、歯がゆさ。各自が選んだ道、平田さんの旅行者として成し遂げた人生、今を生きる大切さ。全てが心に響く終盤は圧巻。自分だったら?という問いと言葉にするのが難しい思いが心をめぐる。記憶をしっかり閉じ込め鍵をかけたようなラストシーンも印象的。自分まで静かに心に閉じ込めたくなるほどの思いに駆られた。
2020/03/06
NAO
【歴史・時代物週間 参加】再読。二・二六事件に関わっていた人物の邸宅跡に建ったホテルに泊まった受験生が、二・二六事件当日にタイムトラベル。事件の内容より、タイムトラベラーの人物設定に興味を引かれた。タイムトラベルがタイムトラベラーに与える影響については、マイクル・クライトンの『タイムライン』でも扱われていたが、『蒲生邸事件』のタイムトラベラーたちもなんともいえない存在だった。
2020/02/26
テクパパザンビア
面白かった。年越しで一気に読んだ、こんな小説が大好物。宮部みゆきに間違いはなし。面白かった。
2018/01/01
りなお
図書館本。歴史物かと思ったら、タイムリープでした。蒲生邸の人々がそうしたように、歴史がどうあれ結局今の時代を懸命に生き抜くしか無い。伏線回収も良かったです。●働くことの意味が「現代」よりも、もっとずっと素朴ではっきりしている。煙草一箱でも人の手を介さねば買うことのできない時代には、煙草一個を売って釣り銭を受け取ることにも、それにふさわしいだけの重みがあったのだ。スイッチポンで事足りる時代に、「人間」でなければ出来ないことはごく限られている。
2023/02/25
Nobu A
忙しい学期中、何度も本を置いたが、三週間程掛けてやっと読了。後半は頁を捲るペースが速まる。大学受験生の主人公がタイムトラベラーに二・二六事件の前日に連れて行かれるところから始まる史実を織り交ぜたSF小説。戦争に向かって行く当時の日本の描写は筆者、宮部みゆきの研究の賜物。主人公の切ない恋に心が温まる。読了後、舞台となった二・二六事件や東條英機を少し調べてみようと思ったのはこの本の価値を如実に表している。中学や高校でも歴史をこのくらい面白く学べたら良かったんだけどなあ、と自分の不勉強を人のせいにする(苦笑)。
2015/10/26
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