蒼き信長 上巻
蒼き信長 上巻 / 感想・レビュー
maito/まいと
尾張弁丸出しの野心家の信秀と、駆け出しの天才信長の親子2代の物語。これまでクローズアップされてこなかった信秀の物語がとっても新鮮。そして信長との絆が描かれていて、子は父の背中を追いかけていくという、信長のイメージから想像しづらい展開に胸躍る。信秀の出番は中盤までで、あとは信長の若き戦いがメインへ。これまでの小説では大きく扱われない信長創世記へ・・・
2010/04/18
フックン
信秀の代から、信長の代へ。野心家・策略家という一面もあれば、家族思いの父・家来思いの主君といろんな面を見せる信秀像が描かれています。この父の跡を継ぎ、身内・家臣・隣国との際限ない戦いの世界に信長はいよいよ漕ぎ出します。
2010/12/01
史
岐阜を得てからの方(正確には桶狭間の戦いである)がよく物語の中枢になっている織田信長。この話においてはそれ以前の話が軸となり、そうなると織田信秀が中心となっていくのも必然か。覇王の親もまた覇王の断片があるかな。そんな尾張統一以前の織田家の物語。さて後半はどうなるか。
2024/10/08
ほっしー
信秀のキャラクター・造形が新鮮で面白い。津島・熱田と織田家の関係性や成り立ちに着目し、少年から青年期の信長の「うつけぶり」を描いた設定はなかなかの説得力がある。有名な信秀葬儀の場面や、道三との聖徳寺での対面シーンの背景が、人物の心理描写とともに丁寧に描かれており、まさに「蒼き信長」のタイトル通り生き生きしていて面白かった。
2011/10/26
鬼山とんぼ
全巻読破の途上。信長主人公3作目。信長という傑物が誕生した経緯を父の信秀の生涯から説き起こし、巷間伝えられている青年期の信長像が形成されていく流れを、なるほど、と思わせるような筆致で綴っている。当然、資料にない部分は作者の創作で埋めてあるのだが、綿密な先行文献の読み込みが窺われ、さもありけんという印象を与えてくれる。本書でも明らかだが、55歳頃の作者はスムーズな展開に仕上げる技量が急速に高まっており、この2年後に書いた『等伯』で遅れ馳せの直木賞を受賞。こちらはさもありなむ。一段とボルテージを上げて下巻へ。
2023/06/02
感想・レビューをもっと見る