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東京會舘とわたし(上)旧館

東京會舘とわたし(上)旧館

東京會舘とわたし(上)旧館

作家
辻村深月
出版社
毎日新聞出版
発売日
2016-07-30
ISBN
9784620108216
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東京會舘とわたし(上)旧館 / 感想・レビュー

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starbro

辻村深月は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。東京會舘と著者との関係性は、上巻ではまだ見えてきませんが、上巻は大正から昭和30年代のエピソードを連作短編で綴っています。どのエピソードも雰囲気がありますが、オススメは戦時下の結婚を描いた「灯火管制の下で」です。トータルの感想は、下巻読了後に。本日は、日帰り出張だったため、3冊読了しました!

2016/09/02

風眠

小さい頃、大好きだった絵本『小さいおうち』を思い出した。時の流れとともに変わってゆく風景、変わらずに佇む東京會舘。大正11年から昭和39年までクリーム色の旧館を舞台とした上巻。関東大震災の前に催されたクライスラーの演奏会。灯火管制下の結婚式。占領下、米軍相手に生み出されたカクテル。土産用であっても妥協を許さぬ製菓係の信念。東京會舘の美学。表記で「館」と「舘」が入り混じっていて誤字と思っていたが、GHQの接収が解除され「會舘」と名前を変え再出発したという事だった。そういう細かな書き分けに少し感動したりして。

2016/11/06

zero1

東京會舘を舞台に、人を描く秀作。「人に歴史あり」というが、建物もそれは同じ。皇居前のこのビルは一時、大政翼賛会の本部となった。その後、敗戦と同時にGHQによる接収。社長の佐山、レストランの東原、美容の遠藤、今井、バーテン桝野。クライスラー(バイオリン)の演奏会、結婚式、そして戦後の製菓事業。私が注目したのは鬼のような厳しさを持った製菓部長の勝目。田中事業部長との関係がよく表現されていて、思わず泣ける。辻村の歴史小説は珍しいが、本作により作家として世界が広がったのは間違いない。再読だが下巻も楽しみ。

2019/04/20

鉄之助

単なる宴会場、かと思っていたら、東京會舘は何と「社交の殿堂」だった。ここを舞台にした小説が何作品もあったり、フランス菓子「ガトー」もここから生まれた。大正11年(1999年)の創業当時から、道路を挟んだ向かい側の帝国劇場と、地下でつながっていたことも驚きだった。「鹿鳴館」の次の段階「社交の民衆化」、を狙って設立された歴史が丁寧に語られ、ここから始まる、文化的な香りプンプンの物語にワクワクしながら読み進めることができた。バイオリンの世界的名手クライスラーと、文学青年との地下通路での邂逅のシーンが忘れられない

2019/10/01

遥かなる想い

建物が見てきた 東京の100年の歴史である。 辻村深月はあるスポットにフォーカスを 当てて、交錯する時間とそこに根付く人々の 思いを描くのが本当に上手い。 東京大震災、大政翼賛会、そして終戦後のGHQ、東京オリンピック.. 時代が流れ、人が去っても 建物は残る.. 東京會舘とともに生きた人々への 著者の 暖かい思いやりが 読者に静かに伝わってくる、 上巻だった。

2017/01/29

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