KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

東京會舘とわたし(下)新館

東京會舘とわたし(下)新館

東京會舘とわたし(下)新館

作家
辻村深月
出版社
毎日新聞出版
発売日
2016-07-30
ISBN
9784620108223
amazonで購入する

東京會舘とわたし(下)新館 / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

starbro

上下巻、570P一気読みしました!下巻の短編はどれも良かったですが、「金環のお祝い」が一番オススメです。近隣の帝国ホテルの方が華やかなイメージがあるので、東京會舘は地味な存在だと思っていたのですが、多くのドラマがある建物なんですネ。特に芥川賞、直木賞受賞式の舞台となると作家の方々の感慨も一入なんだと思います。東京會舘も、思い入れのある著者にここまで書いてもらえると建物冥利につきるのではないでしょうか?新新舘が竣工する頃に我が夫婦は銀婚式を迎えるので、フォアグラの載ったステーキ ロッシニ風を味わいたいなぁ!

2016/09/04

風眠

クリーム色の旧館から煉瓦色に建て替えられた新館を舞台にした下巻。これは本当に辻村深月なのか?と思うくらい、大河小説だった。青春ミステリを書いていた頃から読んでいた作家の転身を目の当たりにし、感慨深い気持ちになる。相当な努力があっただろう、そしてその情熱はこの作品の中で見事に昇華されている。昭和51年から平成27年までの會舘の歴史。一つ一つの物語に下敷きとなった事実がある為か、行った事がない場所のはずなのに、何だか懐かしいと感じる不思議な読後。『東京會舘とわたし』の「わたし」には、きっと私も含まれている。

2016/11/11

zero1

人は思い出の中に生き、思い出は死なない。そして場所が人にドラマを提供する。69歳の芽衣子にとっては亡き夫との思い出の場所。越路吹雪の話は「慣れと緊張」、迎える側の志塚の成長物語。311の震災で帰宅できず、夜明かししたクッキングスクールの元生徒達。カレーの味は格別だったはず。そして直木賞受賞の作家と両親との確執。直木賞候補5回と落選しまくりだった角田が「東京會舘って本当にあるのか」と書いたのは実感だろう。フィクションだが実際の物語を織り交ぜているため、リアリティがある。深く濃く、読者を幸福にする秀作。

2019/04/29

鉄之助

会館でなくて「會舘」。読んでいるうちに文字そのものが、建物に見えたり、人間に見えてきたから不思議! この美しくも心温まる物語の主人公は「東京會舘」そのものだ。ここは、作家にとってもかけがえのない場所。芥川・直木賞だけでなく、10以上の文学賞の授賞式・記者会見が行われてきた所だと初めて知った。フィクションでありながら著者自身の体験も織り込まれているから、読んでいて自然に映像が浮かび上がってきた。「直木賞の時に帰ってきます」という登場人物のセリフは、辻村の結婚式後、本人が本当に言った言葉だけに超リアルに迫る。

2019/10/03

遥かなる想い

下巻は1976年から2015年までの風景を描く。 それぞれの人々の「東京會舘」への想いが 強く交錯し、感慨深い短編集になっている。 特に文中に出てくる角田光代の 「直木賞に決まって」は興味深い。 多くの日本人の想いを載せた建物.. 「東京會舘」が 優しく読者に伝わってくる、 本当に心暖まる 物語集だった。

2017/01/29

感想・レビューをもっと見る