夜の歌
夜の歌 / 感想・レビュー
いつでも母さん
帯の村松友視の文章がこの作品のすべてを語っている。読み切ったよ私。敗戦を境に満州から日本へ。波乱万丈の人生が綴られていた。魂の交換か・・想いは自由に行き来する。ヒット作詞家と呼ばれてからの氏を取り巻く環境、兄とのこと、病気のこと・・嗚呼、あの歌もこの歌も好きな歌詞がたくさん甦る。だからと言って好きか?と問われると好きなタイプではないが(汗)時代と言葉の神から愛されてここまで来たのだなぁ。なんて思って、おそらくだが、なかにし礼の最後の自伝小説を堪能した。
2017/01/12
ゆみねこ
昭和40年代からその最後まで、数多のヒット曲を生み出した作詞家・なかにし礼。今も記憶に残るものもたくさんあります。「赤い月」を読み、満州で造り酒屋を営んでいたお母さまのことは知っていましたが、ご本人の人生もまた波乱に満ちたもので驚きでした。心臓の持病、二度のがんとの闘いで命を見つめた生への叫びが伝わるような読後感でした。ただ、私はゴーストとの濃密なシーンはあまり好きではなかったです。
2017/03/28
007
★★★★☆ なかにし礼氏はがん闘病中とのことで、自らの最期を十分に意識した作品と思われます。読み始めのほうは、なかにし氏はすっかり耄碌してしまったんじゃないか?と大変失礼なことを思ったりもしたけれど、満州での出来事は体験した者でなければ表現できない迫力があり、荒廃した空気が伝わってきました。石原裕次郎との出会いや売れっ子作詞家時代、実兄との確執など波乱に満ちた人生で、ジャンルを問わず作詞家としてヒット連発したのは「神ってた」のでしょうね。
2017/01/14
aloha0307
凄まじいまでの悪の殺到に読中読後ブルブル震えがとまらなかった 本書自体が泣血哀慟し、そしてまた歓喜しているようであった。ポツダム宣言直前ソ連が参戦、そして満州国の崩壊。我先に逃げ出す関東軍(守るべきは人民でなく、陛下であるとうそぶいて) 母と姉とともに逃避行する場面は真に鬼気迫り、己が戦場に投げ込まれたと錯覚してしまうほどでした。but終章では輝く希望がほのかに... 涙を抱えて生きてきた なかにしさん談「私の書いた歌はすべて昭和という時代に対する恋歌であり恨みの歌であった」
2017/10/29
aloha0307
なかにし礼さんと言えば、”時には娼婦のように”♪の作詞家という意識しかなく、本書は芸能界の裏事情でも語るのか? と軽い気持ちで読み始めたが...とんでもなかった。サンデー毎日連載で読んだが現在再読中(再読の妙味をまさに満喫しています)。冒頭のゴーストとの 吐息の交換(表紙カバーに描いてある) を読み飛ばしていたようだ(ここを抑えてないと、本書の奥深さはわからない)。
2017/10/28
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