ライト マイ ファイア
ライト マイ ファイア / 感想・レビュー
いつでも母さん
ーつまり学生運動を炊き付けていたのは、左翼勢力ではなく保守政治家だったのだーそうじゃないと言い切れるか?そんな時代もあったねといつか話せる日が来るわ・・それはいつ?いまだあの時代の事は分からない事ばかりだ。あの頃の『熱量』をこの国の誰が持っているだろう。いや、良し悪しは別にして・・公安モノは怖い。たかだか50年前この国で有った事。よど号ハイジャック事件と今起きた火災事件が結びつく時、明らかになる事実。隠された事実。どこに真実は有るのだろう。あの国の事は今も謎ばかりだが、この国だって国民は置いてきぼりだ。
2018/12/19
starbro
伊東潤は、新作中心に読んでいる作家です。著者の現代小説2作目です。歴史小説のイメージが強かったですが、現代小説・ミステリも結構イケています。私よりも一回り上の世代の話ではありますが、当時の緊迫感も伝わり、楽しめました。タイトルがThe Doorsから来ていると思いませんでした。伊東潤は、歴史小説ではなく、現代小説で直木賞を獲るかも知れません。
2018/07/09
yoshida
川崎市の簡易宿泊所での放火事件。事件を追う警察官の寺島は1970年のよど号ハイジャック事件へ辿り着く。ドアーズの「ハートに火をつけて」が脳内で流れる。学生運動組織「統学連」への潜伏命令を受けた警察官の三橋。彼はメンバーの桜井に惹かれつつ、組織の武力革命とハイジャック計画を掴む。無謀な計画が様々な政治の力に翻弄され、三橋の運命も弄ばれていく。学生運動の時代の熱、当時の時代背景を知る。また無謀な計画が成功した推理に唸る。伊東潤さんの作品でも屈指。我々はあの熱を何処で無くしたのだろうか。圧倒的な熱量を持つ力作。
2019/04/01
とん大西
力作。分厚い骨太感、エンタメ感に読み応え大でした。私が生まれる前後の全共闘やよど号事件は字面だけでしか知らない近くて遠い歴史。過熱する学生運動で世情に不安を抱える日本。武闘派の学生組織に潜入した若き公安捜査官の孤独な闘いと予測不能の展開に中盤からは一気読み。青春の情熱と警察の正義の狭間で苦悩する琢磨。彼の思惑をよそに蠢く陰謀。物語はミステリー要素を散りばめつつスケールのデカイ社会派サスペンスにシフトしていきます(『犯罪者(太田愛)』を思い出したょ)。伊東さん、時代モノだけやないんやね。おみそれしました。
2018/10/20
ケンイチミズバ
童顔だから君しかいない。断れば出世の道はない。そう、下っ端に選択肢はない。学生になりすまし、深く潜入して彼らに溶け込め。成り行き次第で犯罪に加担することも、学生たちの情熱にほだされて逆に感化されることも。揺れ動く心。いくら現代の警察官でも1970とHJでよど号事件を思い出さないところは腑に落ちない。情熱はありません。活動歴もそうだな会社の労働組合なら。私の時代?そう、スローガンならいい大学いい会社将来の安定。まあトホホ世代だね。脱出ルートは東から西ベルリンかと思いきや黄海から公海へ。ラストが少し残念かな。
2018/07/06
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