シークレット・エクスプレス
シークレット・エクスプレス / 感想・レビュー
パトラッシュ
おそらくミステリ史上初めてJR貨物が主役を務める、列島を縦断する貨物列車による秘密輸送計画。警察と自衛隊が絡んだ不審を感じつつ、貨物輸送のプロたちが黙々と己の任務を全うすべく力を尽くす姿が魅力的。これに核燃料輸送を疑った新聞記者たちの取材攻勢と、反原発グループによる組織的妨害が絡んだ追いつ追われつのドラマが展開する。ただ、どちらも一部民間人による小規模な動きで、警察の妨害にあえなく挫折してしまう。魅力的な素材を扱いながら一滴の血も流れず、結末も尻切れトンボの感が残った。調理に失敗した高級牛肉のステーキか。
2021/09/27
ウッディ
自衛隊よりJR貨物に依頼された燃料の輸送、青森で積み込まれた内容不明の荷物を積載して動き出した貨物列車を佐賀まで無事に運ぼうとする職員とそれを阻止しようとする活動家やマスコミとの闘いを描いた一冊。不都合な真実を隠蔽しようとする国家や企業と義憤にかられた人々との対立を軸に、安全に物を届けるJR職員の使命感が描かれているのが、新鮮でした。ストーリーの面白みや迫力はいまいちだったが、大量に物資を輸送する貨物列車、普段は意識することがないこの輸送手段に係る人々の苦労やプロ意識を感じることができる小説でした。
2022/04/25
のぶ
今までの真保さんの作品同様に、綿密に取材をして書かれたものだという感じがした。JR貨物に緊急輸送の依頼が入り、自衛隊の特殊燃料を青森から佐賀の鍋島まで運んで欲しいと依頼が入る。準備を整え、運行をスタートするが、液体だと聞いていたはずだが、運転の感覚で荷物は個体としか考えられない。いったい何を運んでいるのか?一方でこの運航が報道の知るところとなり、記者は取材を開始する。列車運行のサスペンスは面白く読む事ができたが、真相究明の描写が今一つまとまりがない感じがした。最近の真保作品ではまあヒットだと思う。
2021/09/05
エピファネイア
久々の真保裕一さん。本州最北端の東青森駅からタンクコンテナを連結した臨時貨物列車9999(フォーナイン)が秘密裡に出発する。燃料輸送とされるが、経験豊富な運転士は液体ではないと直感する。近くの核燃料サイクル施設絡みの積み荷か。政府からJR貨物に圧力がかかり調べることもできない。原発反対派は積み荷の中身を確かめるべく列車を止めようと画策する。真相を追求する女性新聞記者も巻き込んで9999は本州を縦断して走り続ける。K総理を彷彿させるエピソードは不要かな。もっとエンタメに徹したほうが面白く仕上がったと思う。
2022/05/29
KAZOO
新保さんの貨物列車によるノンストップ的な話かと期待したのですが、若干話が広がりすぎた感じでっした。JR貨物の機関車とそれを時間までに届けなければならない荷物ということで機関車や路線などは詳しく面白いのですが、原発関連のはなしや役人が出張っている感じがあって面白さが若干そがれました。話を単純にして貨物ルートの話を拡げてほしい気がしました。
2022/06/29
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