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恋ふらむ鳥は

恋ふらむ鳥は

恋ふらむ鳥は

作家
澤田瞳子
出版社
毎日新聞出版
発売日
2022-07-04
ISBN
9784620108575
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恋ふらむ鳥は / 感想・レビュー

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starbro

澤田 瞳子は、新作中心に読んでいる作家です。飛鳥時代の歌人・額田王は知っていましたが、その物語を読むのは初めてです。 タイトルと主人公から、嫋やかで雅な恋の物語かと思いきや、骨太な政争中心の歴史小説でした。村田涼平の絵が雰囲気を醸し出しているので、もっと沢山掲載して欲しかった。 https://mainichi.jp/koifuramu/

2022/08/29

モルク

大海人王子の元妻であり宝女王(斎明)葛城王子(中大兄王子)の宮廷で仕えた額田王。近江への遷都そして壬申の乱までを額田の歌人としての成長を交えながら描く。20年以上前この時代の小説にはまり井上靖、永井路子、黒岩重吾、杉本苑子各氏が描く世界に浸っていた。その記憶が鮮やかに甦る(推しは大海人王子と大津王子)過去の本では存在が感じられなかった中大兄王子の異父兄漢王子のなんと魅力的なこと。そして天智亡き後大海人さらに一人息子草壁に繋がるように壬申の乱にむかわせる後の持統となる讃良、彼女はやっぱりぶれずに強かった。

2023/02/24

シナモン

動乱の飛鳥時代を生きた額田王の半生を描く。563ページ、歴史小説ということもあって読むのにエネルギーが要りました。読み終えた今、達成感でいっぱいです。親子、兄弟、夫婦…いくつもの縁がもつれ合った宮城で自分の生きる場所を守るために懸命だった額田王。「熟田津に船乗りせむと月待てば潮もかなひぬ今は漕ぎ出でな」の場面ではぶるっと身震いでした。そして最後まで珠羅の消息が気になって…。こんな時代もあったんだよな。里中満智子さんの歴史漫画「天上の虹」を読み返したくなりました。

2022/08/07

trazom

主人公は額田王。歌や恋や美女という認識しかなかった額田王が、斉明から天武に至る歴史に深く関わった女官として描かれることが驚き。そもそも、白村江の戦い、天智の即位、壬申の乱という一連の史実を、登場人物に性格的な色付けを施すことで、こんなにも生き生きした人間ドラマに仕立て上げた澤田さんはスゴイ。中大兄皇子の怜悧、鎌足の存在感、人の好さが致命傷となる大友皇子、一見磊落だが柔弱な大海人皇子、そして何より、狡猾で腹黒い存在として描かれる鸕野讃良!。史学を専攻された作家の想像力・創造力に畏れ入るばかりである。面白い。

2022/10/01

ちゃちゃ

万葉の宮廷歌人として名を残した額田王。本作は、動乱の世を果敢に生き抜いた歌詠みとして、額田王の半生を見事に描いた作品だ。彼女は色弱という障害を周囲に秘め、政争渦巻く宮城で孤独に耐え己の信じる道を進む意志ある宮人となった。壬申の乱の終焉を見届けた額田の心に去来する感慨。国は滅び、政は人々の心から忘れ去られても、歌は世に残る。儚い世を生きる身として彼女が選び取ったのは、歌い継がれ朽ちることのない歌詠みとしての孤高の生き方だったのだ。終盤の「恋ふらむ鳥は」の歌が、滅びゆくものへの愛惜の念をしみじみと誘う労作だ。

2022/10/14

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