真珠とダイヤモンド 下
真珠とダイヤモンド 下 / 感想・レビュー
ミカママ
いやぁぁぁぁ。今まで桐野さんベストは『OUT』だと思ってたけど、これはそれに肉薄する内容。個人的な思い入れを差し引いても。溜めに溜めて読んだ甲斐があったというものだ。人生流れに棹さすことも大事だね。終わったからこそ言えることか。
2024/07/16
W-G
バブル期を舞台にしていても、あくまで主題は個々の女性のパーソナルな部分にあり、上巻からずっと感じていた軽さは、そこが肝ではなかったからだと、読み終わって納得。それにしても展開があっさりしすぎている感があって、特にラスト100頁くらいは、かなり駆け足に思えた。とはいえ、終わりよければすべてよしの言葉通り、物悲しさを残しつつ、タイトルに結実していく上手い締め括り方のおかげで、よい読書タイムだったと満足。こういう目線で描かれるバブル時代もアリだなと最後には肯定的な気持ちで本を閉じることが出来た。
2023/05/10
starbro
上下巻、650頁弱完読しました。破綻すると解っていても、スリリングな展開、バブル崩壊、宴の跡、哀しく悲惨な結末でした。タイトルがこんな意味だと思いませんでした。私はバブル末期に社会人になったので、あまり恩恵もなく、今現在も真っ当な人生をおくっていますが、バブル全盛期だったら、本書の主人公達のように破綻していたかもしれません(怖) https://mainichibooks.com/books/novel-critic/post-604.html
2023/03/06
青乃108号
上巻の狂騒と疾走感は下巻に入り一転、地獄絵図を見ているような展開に。正直、上巻を読んでいる時は俺自身も同時代を生きていたため、作品世界に比して当時の、そして今の自分って何てしょうもない、ちんけな生き方をして来たんだろうと大層惨めな気分にもなっていたのだが、この下巻。ここまでとことん突き落とすのか。唯一真面目に堅実に生きてきた水矢子までも。恐ろしい時代だったんだな。大して何にも楽しい事はなかった俺の半生も今生きて何とかやれてるんだからそれはそれで良かったんだろう。皆、大変よね。多分これからも。頑張ろうね。
2024/04/09
修一朗
バブルに乗って贅沢を享受していた人たちも転落が始まったらあっという間だ。じゃぁ地道に生きていたらよかったかというとそういう結末でもない。一部の逃げられた人以外は眺めていただけの人だってヒドイ目にあった。このあと強烈な就職氷河期になったので水矢子のようなひどい目にあった人も多かったのだ。投資ジャーナル事件をモデルにしているしNTTについてもほぼ事実を踏襲しているし,桐野夏生さんも当時お金を回してバブルで儲けている人を傍目で見ていいなぁと思っていた方だそう。桐野さんは改めてあの時代に対して怒りを表明したのだ。
2024/05/06
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