その話は今日はやめておきましょう (毎日文庫)
その話は今日はやめておきましょう (毎日文庫) / 感想・レビュー
ミカママ
年代は違うが、我が両親に昌平とゆり子の姿を重ね合わせてしまい、なかなかに辛い読書だった。人は誰もが老いていく、それはすなわち衰えていく、いろいろなことが出来なくなる、ということ。出来なくなれば、他人に頼らざるを得ない、ということなのだ。平易かつなめらかな文章で、先が気になり一気読み。思えば久しぶりの荒野さんだった。
2022/08/07
相田うえお
★★★☆☆21119【その話は今日はやめておきましょう (井上 荒野さん)】昌平(七十二歳)と妻ゆり子(六十九歳)はクロスバイクを購入して一緒にサイクリングを始めた矢先、夫の昌平は事故に遭遇して足を骨折し、リハビリ生活となってしまいます。そんなとき、ある若者と知り合い、家事手伝いのアルバイトを頼む事に...ところが!と、流れます。この作品、やっと自由な時間を得た老夫婦の悠々自適な生き方を描いたものだと思いきや、非常にフラストレーションがたまる話で思わず眉間に皺がよる場面も。心がざわざわ〜でも良かった。
2021/12/14
やも
熟年離婚の話かと思ったら違った。初老夫婦の旦那さんが足を骨折。日常生活も通院もなにかと不便でどうしよう?って時に、ふとしたきっかけで知り合った男の子に御用聞き的なのを頼む。そしたらこの男の子がよー…まったくよぉ!なのによぉ!…ったく。ふぅ…。みたいな話だった。
2024/10/18
けいこ
クロスバイクを趣味とする70代と60代の夫婦。そこに、ひょんなことから1人の若者が関わるのだが、、。いつもの井上荒野さんらしく無い、どこにでもいる夫婦と青年の話は、ごく普通だからこそあり得る心の内が逆に怖い。言いたいのに言い出せない、自分の中だけで処理してしまおう、気のせいだ、無かったことにすればいい。誰もが抱えた事のある感情が登場人物たちそれぞれの間で渦巻くが、ラストにかけて一気にモヤモヤしたものが晴れ、スッキリとした読後感。読む手が止まらず一気読みでした。それにしてもなんて秀逸なタイトルなんだろう。
2022/03/21
たぬ
☆4 老夫婦がカモられている事実に徐々に気づいていくものの、それを素直に認められないさまが臨場感あった。いくら「いい子」だとしても身分のはっきりしていない人物を自宅にあげるのはナシよね。一方で一樹の目の前のジジイを殴りたい衝動もなんとなく理解できる。最終局面での一樹の引き際が思いの外あっさりしていてホッとするやら物足りないやら。
2022/09/12
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