摂: 美術、舞台そして明日
摂: 美術、舞台そして明日 / 感想・レビュー
oldman獺祭魚翁
図書館本 これも図書館の特集で見つけて借りた本。中をあまり確認せず著者名と演劇を扱ったものとして借りたが、摂とは2014年91歳で鬼籍に入られた、舞台美術家朝倉摂女史の話だった。彫刻家朝倉文夫の長女として生まれた女史は長じて日本画家となり、その反骨精神と飽くなき好奇心から舞台美術家としても多くの作品を産み出している。特に蜷川幸雄の舞台美術も多く手掛け世界的な舞台美術家として評価されていた。著者は相当な演劇好きで、作家として成功してからは結構な数の舞台を見ているらしく、書かれている70年代から今に至る…続く
2016/10/12
彩也
朝倉摂の舞台美術は、一度見たら忘れられない印象を残す。「華麗でダイナミックで、そうして華やぎの持つ陰影をとらえ」る舞台装置を造り出してきた朝倉摂のヒストリーを、同じく「華麗さとひとつになった翳り」ある小説を書き続ける皆川博子が書いたのだから、ファンとしては悶絶するしかない一冊。もっとも、皆川は影に徹して主張は少なめ。朝倉摂の仕事の歴史、それは戦後の演劇史そのものである。劇場に出かけたくなる。朝倉は「新しい形の演劇は滅亡の一途をたどっているような気がするんですが」と述べているけれども。
2012/04/29
あきづき たくみ
ものづくりに携わる人に、ぜひ読んでもらいたい本。
ぱーぷる・ばんぶー
舞台美術の第一人者朝倉摂の仕事を通して日本の演劇史をまとめている。著者がシナリオを描いた映画「写楽」の美術を朝倉摂が担当したらしいから、そのころから交流があったのかな。著者の舞台愛があふれている。
2020/06/24
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