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いまここに在ることの恥

いまここに在ることの恥

いまここに在ることの恥

作家
辺見庸
出版社
毎日新聞社
発売日
2006-07-29
ISBN
9784620317748
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いまここに在ることの恥 / 感想・レビュー

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寛生

【図書館】言葉に見放されることが一番怖いと言う辺見は、全身全霊でことばの真髄に迫る。飢えて病み死にゆく躰から漂う匂い世界の中心におく自身の身体性からことばが紡がれる。躰が不自由になればなるほど、そこに不思議な〈動〉が現れ、その躰の奥から、「書け!」という突き上げてくる声に辺見が傾聴する。緘黙という言葉がとても好きだという辺見は、自らの目が焼かれるほど、絶望の真っただ中、闇の闇を凝視することで、燃えたぎる青い炎があがるペンで紙の上を燃やし尽くすよう。みっともないからこそ、その生を生き続けなければならない。

2014/12/19

寛生

【図書館】何度も閉じては何処ともなく本書から離れて歩いていく自分。辺見の躰から湧き出るコトバが僕の躰を揺すぶる。辺見自身の「〈いつか〉を〈いますぐ〉に前倒ししなければならない」衝動は、自らの生の恥をこれでもかという程に深くあなぐるが。しかし、聴いたこともない力強い音となって生きつづけよと声となる。自らの生が紛れもなく見えない無数の他者を抹殺しながら日々在るということの恥。あのナチスが羨んだ日本のファシズム(121)全国民協調主義の中で、辺見はアガンベンと共に、虚構のメディアと資本で犯されたコトバを暴露。

2014/11/18

ガブリエル

脳出血と癌という大病を患い、死を目の当たりにして内側から迸る書かずにはおれないことを書き綴った遺書のような言葉の数々。まどろっこしい文章と、どこかカッコつけたような文章がとても読みづらい。日本のファシズムが上からではなく下からの、「天皇制という日本型の協調主義的ファシズム」であるという部分には肯首できるし、率先してポピュリズムを先導するマスコミの恥については激しく同意。だけど、資本を否定し、天皇を断罪し、あえて自衛隊派兵という言葉を使うステレオタイプの左翼思想に凝り固まった筆者の思想にはため息しか出ない。

2022/08/18

algon

死地を見た言論・言語の職人はもう何も気遣う対象はない。徹底した考察の上に苛烈ともいえる言葉で政治を、その周辺業界を、そしてぬるい立場の文化人、リベラルに至るまで刺していく。大手新聞の記者連を糞バエと呼び、行きつくところ涜神せよとまで言い切る。そういう言論人に市井人がどう書評しきれるのか。自分はただ言葉無く承る他はない。激しい内容でありアジテートと言ってもいいのだが頷ける理屈ではあるのだ。10年経ってはいるが状況は益々悪化。恥として背負い、どこかで降ろそうと思いながら。

2017/07/18

柴犬 太郎

すごい本。Pレヴィの「人間であることの恥辱」をもじったタイトル。

2008/04/01

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