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幸いなるかな本を読む人 詩集

幸いなるかな本を読む人 詩集

幸いなるかな本を読む人 詩集

作家
長田弘
出版社
毎日新聞社
発売日
2008-07-25
ISBN
9784620318936
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幸いなるかな本を読む人 詩集 / 感想・レビュー

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ゆうゆうpanda

長田弘氏の「心から離れない本」25冊を素材に編まれた25編。軽い本が好きな私には、ハードルの高い本ばかりだった。必読書なのだろうな…と反省。「人生は、何で測るのか。本で測る。おなじ本を、読み返すことで測る。」そうして詩人の中で「親しくつくりかえてきた本」から生み出された言葉は、本から染み出た雫のように輝く。1編ごとにアルファベットが付けられている。だが、Zの項の詩はない。私にも本を選べと委ねられているのか?それとも、人生最後のとっておきの一冊をと、吟味していたのか?自らも本となった亡き詩人に問うてみたい。

2016/06/18

まさむ♪ね

本を読むことは自分の心を旅すること。どこか見知らぬ遠くのまちへ、人跡未踏の密林へ、深い深い海の底へ、あおいあおいそらのかなたへ。それはとても孤独で、精神的にも肉体的にも集中力のいるたいへんな旅になるだろう。でもひとつの旅を終えた瞬間、また新たな旅に出たいと思うのだ。その充実感、爽快感。それは本を読む人だけが知る歓び。わたしにとって生きることそのもの。

2015/06/14

Y2K☮

25の作品から受けたインスピレーションを結実させた詩集。例によって音読してみた。体調や時間帯にもよるが、すらすら進める作品もあればテンポの合わぬものも。静かな哀しみ、怒り、そして喜び。年齢を重ねた著者はもはや声高に叫んだりしない。でもだからこそ選び抜かれた言葉がすーっと最短距離で届く。透き通った浅い流れに手を浸すイメージ。元ネタはほぼ未読だったが、逆に「檸檬」や「ソクラテスの弁明」「方丈記」が出てきた時、初対面の集団に友を見つけた安心感。文学とはかくも自由に振る舞える幸いな世界。表紙の絵にも妙に惹かれた。

2015/04/11

Y2K☮

今月のポエム。長田氏の詩みたいな文章を書く人が時々いる。ファンなのだろう。それはそれでいい。本はどう読もうと何を感じようと自由だから。ただ決定的に異なるのは自我の有無。どこまでも静かで澄み切った文体。自己陶酔や承認欲求の類とは無縁。元々そういう人だったのか重ねた年輪がそうさせたのかは分からない。でも詩人というものが魂の代弁者であるのなら、どこかで恣意的な欲しがりを止める必要があるのではないか。いや、あらゆるアートがそうなのかもしれない。自己表現に拘る内はまだ青い。真の剣豪は刀を抜く必要が無い。遥かな境地。

2018/08/05

マリリン

心に沁みる詩集だった。湧水のように自然な言葉… 特に「深林人知ラズ」...「草枕」は多分未読なので読んでみたい。「少女はブランコをこぐ」...「香春伝」も。「終わりのない物語」...物語をどう終わらせるか、それが問題...「アンデルセンの「雪の女王」うっすらと記憶にある。「もう行かなければならない」...時刻だからもう行かなければならない。モンテーニュの「エセ―」は興味深い...最後が見事に運ばれてゆく すなわち、静かにこっそりと死にたい。「檸檬を持っていた老人」...梶井基次郎が静かに佇んでいる。→

2019/08/30

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