国家、人間あるいは狂気についてのノート (辺見庸コレクション4)
国家、人間あるいは狂気についてのノート (辺見庸コレクション4) / 感想・レビュー
ひろみ
『文学者は本来、一種の異邦人である、と豊島は気障なことを言う。わたしにとって文学者なんかどうでもよいのだ。いま再びの怪しげな声の時代に、自国を持たない「個」であることは可能なのか。その喜びと悲しみとはなにかを、じっと思うのみである。』「まずは怒りを殺したい。静かな心で暗闇に向かい、〈いなくなった自分〉を見出したい。奪われた意識の空洞にいまなにが居座っているのか手探りしたい。自分のファシズムの質を知りたい。」「あたまにうんこの詰まった記者たち」あぁ、これは記者たちだけじゃないな。
2016/01/15
踊る猫
ゼロ年代に入ってからの辺見庸氏の発言と詩文を「コレクション」として纏めた一冊。全然関係ない話をすれば、ニュースサイトのトップページを見ているとどうでもいい芸能人のゴシップと重大な政治的トピックがそれぞれ並列されているので、本当にフラットな世界の中に自分が生きていることを実感してしまう。そんな中にあって「狂気」の中に落ち込んでしまわないためにはなにを考えるべきなのか、本書から改めて色々と教わったように思う。取り敢えず大事なことは魯迅を読むことか……あとは辺見氏の「フィクション」も読まなくてはいけないな、とも
2015/09/06
かふ
世界が狂っているのでなければ己が狂っているに違いない。TVやメディアが見せる世界。そこに確かな論理があるのだろうか。例えば千葉景子法務大臣就任後の死刑執行。死刑の是非を議論して貰いたいと言いながらもそれ以降は議論もなくなし崩し的に。善意の中の人が犯す過ちというよりも個人よりも組織が優先される組織(生存の)の為に行う愚かさ。あと東日本大震災をいつの間にかアメリカの9.11を真似して3.11と呼ぶようになったことについて。そうして一つの国家として形付けられていく有り様の居心地の悪さや気持ち悪さについて。
2014/03/14
繻子
酒で頭がふらふらしているときに読むと、ふしぎと文章が体にしみてくる。どんなに辺見さんが、どうしようもない偏屈さで、極端な意見や発言を織り交ぜても、情景描写はいつでもすばらしいと思う。辺見さんの、野辺の花の描写、日の光の描写が好きです。
2013/06/24
さくらさく
上々。
2013/03/17
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