いま語りえぬことのために 死刑と新しいファシズム
いま語りえぬことのために 死刑と新しいファシズム / 感想・レビュー
キク
初読。作風と評判からすると、僕は読んでいて然るべき作家だ。中学生のとき好きだった初恋の人が「辺見庸が好きだ」と言っていたので、今までなんとなく避けてきた。我ながらガキすぎると思い、初めて読んでみた。元共同のエース記者らしいしっかりとした文体から溢れる孤独であることへの覚悟。「宮中と死刑刑場は似ている。どちらも日本的な薄明のなかで絶対的空無の深淵にある」「死刑制度を継続させてきた真犯人は権力であるとともに、それを許してきた我々である」カッコいいけど、読む前から知っていた。あの人が好きだと言っていたんだから。
2022/02/09
壱萬参仟縁
読書などは「反社会的勢力」のやること?(89頁) だが、読書といえども、良書と悪書とあるわけで、 良書を選択して読めばよいだけだ。 良書を再三再四読すればよい。 文化とは人間の生活様式の全体で、 死刑を正当化する法制も、 国民文化、 恥ずべき国民文化(傍点)で、 国家と国民の幻想から脱する必要がある(109頁)。 殺人が国家の名のもとになされる場合が、戦争と死刑(160頁)。
2014/04/28
さくらさく
上々。
2013/11/23
hose1239
「個として闘う」ことの大切さ。特定秘密保護法が成立してしまうような状況を作り出している責任は「われわれ」にあるということ。辺見庸の言葉は、安穏と日々を過ごしている私の胸に突き刺さる。
2013/12/07
shouyi.
目の前の日本の状況がファシズムの道を歩いている事を思い知らされる書。刑務所の中と宮中が同じような薄暗さであることの意味、死刑を廃止しなければならない理由、など考えさせられることが多かった。一番いけないのは、鈍感に慣れた自分の感性だ。
2018/09/26
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