ぜんぶ本の話
ぜんぶ本の話 / 感想・レビュー
ミカママ
これは困る。内容に偏りがあるにせよ、読みたい本が怒涛のごとく押し寄せてくる。苦手意識の強かったSFやファンタジーでさえ手に取らせる勢い。おふたりの読書量にまずは感服。終盤戦、なにかモヤつくものを感じたが、その気持ちの根っこはおふたりの置かれた環境への「嫉妬」なのだと気づく。人は嫉妬する動物なのだ。
2022/02/12
まこみや
福永武彦には専ら小説(因みに僕のベスト3は①『死の島』②『忘却の河』③『廃市』)で、池澤夏樹には主に編集と書評(特に『個人編集 世界文学全集』)で、池澤春菜にはSF書評(例えば『SFのSは、ステキのS』)で、とにかく親子三代にわたって我が読書生活を実りあるものにしてくれた恩人である。その本についての親子の対談が面白くないわけがない。とりわけ読書家三代は、「私小説の類は一切書かない」夏樹と春菜が珍しく私的な事情を吐露した点で頗る興味深いものだった。ただ積読本は溜まる一方なのに、これ以上紹介されても困るなあ。
2021/04/02
kei-zu
父と娘が語り合う「ぜんぶ本の話し」。 春奈さん、前書きに「10年前だったら、この本のお話も断っていたかもしれない」と書く。文学者として高名な父との関係は微妙であるのだろう。 それでも二人の話しは、過去の読書経験を経て父による自らの親との関係にも及び、互いの信頼感を深める感があり、読後は暖かい気持ちになります。 取り上げられる本は多いですが、二人の語り口の上手さから、未読の本についても楽しく読めます。
2021/12/02
おたま
池澤夏樹、春菜親子の本を巡る対談。春菜さんが生まれたときから自分の周りに本が山のようにあったことから始まり、児童文学、SF、ミステリー、そして父たち(夏樹さんと福永武彦)の文学について、とことん語り尽くす。「読書って自分自身は本に向かって開かれているんだから自閉ではない」「人とつきあうように本とつきあうことができる」という言葉が印象的。巻末にこの本で取り上げた本が、細かい活字で9ページも書かれている。それだけでも貴重なブックガイドになっている。
2022/02/20
いちろく
紹介していただいた本。池澤親子による本をテーマにした談話集。個人的に池澤春菜といえば、今ではSF界隈で活躍されているけれど、学生の頃に観たアニメで声優をされていたイメージ。だから、ご自身の過去話があったのは嬉しかった。取り上げたれた本やジャンルに関しては、深く掘り下げるよりも広く談話されていた印象。既読の本があれば、自分の感想や印象との違いも楽しめた点で興味深かった。余談ですが、国内の某ベストセラー翻訳本に対して親子で苦言を呈していたのは、その本に苦手意識を持っていた私にとって、ホッとした部分もある。
2023/01/27
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