ヴァージニア・ウルフ著作集 2
ヴァージニア・ウルフ著作集 2 / 感想・レビュー
Yuki
課題図書のため読む。冒頭部分を読んだ時の印象は、まるで絵画のような情景が、空間的・時間的な広がりを持って感じられるということ。 動物の頭蓋骨と少年時代の主人公の生と死の対比、作中で何とも呼ばれる主人公の名前が印象的で、第一次大戦を背景に感じさせつつ日常生活を淡々と描くような描写が、直接的な戦争の描写よりも喪失感を感じさせるのかもしれない。 作者にとって転換点となった作品だそうですが、しかし、技法が目立ってしまっている気が少し。作者が戦争をどう思い、どのように関わったのか、それを調べるのは、今後の課題。
2017/02/07
WA
割と順調に読み通せたということは意義深い。新訳を読む前に原文を少し見てみよう。...と思ったが、新しい本は新訳ではない⁉
2021/12/12
lico
かなりぼんやりとした作品で、あちこちにちりばめられた暗示的な描写が、ストーリーの把握を困難にしている。何となく読んでいると右から左に物語が抜けていくこと必至なので、きちんと時間をとって集中して読んだ方がいいと思います。 ジェイコブの一生を一冊にまとめているにもかかわらず、ジェイコブ自身の主観はあまり出てこないので、読者自身でジェイコブ像を作り上げていくといいかもしれない。 付録にあった、この本はジェイコブの身近な人たちが作り上げたアルバムであるという書評がこの本を端的に表していると感じる。
2014/07/29
はじめ
一人の人間に注がれる眼差しが、彼がともに時間を過ごした人々やふと目をむけた人々、すれ違った人々にまで拡がり、それによって見えてくるのが幼少期から青年期まで彼が過ごした世界そのもの(=ジェイコブの部屋)である。人々の関係性や内面に重きが置かれている後の作品と比べると、人々がいた空間と時代をそのまま描き出すことに関心があるように思われ、文体に対する試行錯誤の一端を垣間見たように思った。 相変わらず自然に対する描写が驚くほど鋭く、ウルフが日々移り変わる故国の風景をどれだけ慈しんでいたかが伝わってくる。
2022/03/05
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