ヴァージニア・ウルフ著作集 6
ヴァージニア・ウルフ著作集 6 / 感想・レビュー
ぺったらぺたら子
小さな声で囁かれる旋律に、対旋律が生まれ、重なる。世界はそのように生成されるポリフォニー。その響きが我々を生かし、それぞれに美へ向かって小舟を漕ぐ。人生は醜悪、誰もがクズで破片で断片だけど、たまゆらに湧き上がる美こそ我々の向かう場所への道標。高く低く、強く弱く、それぞれの生はそれぞれに、それぞれが小さくとも意味と意義を持って響きあっている。コール&レスポンス、世界は森のエコー、全てはハーモニー。著者の全著作の集大成でもあるが、有名作よりも更に思想は深まっている。死の直前に書いたものは生きる為の本であった。
2017/12/25
hiro
物語の舞台は1939年夏、イギリス中部の田舎の広大な敷地のポインツ屋敷のオリヴァー家のほぼ一日。ポインツ屋敷の屋外のテラス、木々の間で毎年開催される村人達の野外劇の一日。始まりは若い女主人アイサを中心にオリヴァー家の人々の何気ない会話と敷地の自然の描写。言葉から次の別な言葉へ繋がりが、そしてその断片、断片がなんとも美しく・・・劇は先史時代からビクトリア朝を経て現代に至るイギリス史のパロディ・・・劇が終わり、村人が帰り、実に美しい一日が終わるかと・・・ところが最後の言葉・・・「それから幕があがった」・・・と
2019/02/16
感想・レビューをもっと見る