岡本太郎の本〈4〉わが世界美術史―美の呪力
岡本太郎の本〈4〉わが世界美術史―美の呪力 / 感想・レビュー
roughfractus02
日本の「伝統」を近代の官製トップダウンの急拵えであるとした著者は近代が作った「歴史」以前の呪術的な美の形成力を東北と沖縄を中心に探究した。『美の呪力』を中心に据えた本書はその探究を西洋に拡大し、氷河期以後東アジアから北米南米大陸に移動したモンゴロイドの先史文化の痕跡から、20世紀の前衛的美術が描く無意識を探り、整然とした西洋美術史の深層に潜在する呪術的な力を取り出そうとする。バタイユ的な弁証法の検討でもあるこの対極主義的方法は、秩序の中に矛盾を見出すだけでなく矛盾の中に生の美的価値を生み出す試みでもある。
2023/04/28
あっきー
✴3 積読本消化月間26冊目、この巻のモースから学んだ民俗学関連が一番自分が読みたかった美の呪力の話だ、メキシコの古代供犠、金枝篇の宿り木、曼陀羅についても見方が変わっていて良かった、ピカソのアトリエ訪問の章も面白かった
2016/12/24
chanvesa
「世界美術史」と銘打っているが、いわば岡本流であって、プリミティブな作品や昨年の持つ根源的にゆさぶりをかけてくる面にクローズアップしてくる。仮面や火、血をキーワードにしてくる力強さ。175頁の文明批判は完全に現代に通じる。
2012/03/17
メルセ・ひすい
9-25 ★5 ★5 ★5 凄い! 必読 黙って読め! 岡本太郎が世界の美を見直そうとする、それは取りも直さず、世界美術史の基準を岡本太郎の眼差しによって書き直すことに他ならない。「わが世界美術史」「ヨーロッパ再訪」「芸術家たち」を収録。
2007/09/28
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