三ギニー (ヴァージニア・ウルフコレクション)
三ギニー (ヴァージニア・ウルフコレクション) / 感想・レビュー
mawaji
東京医大女子減点問題の報道の最中にツイッターで目にしたので手に取りました。「どうしたら私たちは戦争を未然に防げると考えますか」という問いにまつわる書簡形式のエッセイは「教育ある男性の娘たち」の理不尽さを、男性中心の家父長制や大学教育・就職とその報酬の問題点についてかなりアイロニカルに綴られていて、80年前の出版ですが今の時代にも通じるところが多々あるようです。「女性は『できそこないの男性』であるとする潜在意識の女性観」というのは、生物の発生のデフォルトはメスという生物学的事実を鑑みると滑稽にすら思えます。
2018/09/01
のうみそしる
あなた、彼、彼女、私たち、逐一整理しないと完全に迷子になる評論。男女がどうのというより、権力に嬉々として従い他人を支配することに夢中な思考停止俗物にならないよう気を付けよう、という話。聖パウロはとんだゴロツキ。教会組織や大学での女性蔑視。時代が下り、かなり改善されたところはあるだろうが、未だ女性司祭は厳禁。貧困、貞潔、嘲笑、本物でない忠誠心からの自由を共に、アウトサイダーとして生きるべし。アナーキズムにつながる?
2022/06/07
セレーナ
3ギニーで何ができるか。戦争防止への協力要請の手紙への返信という趣である。この人は本当に理路整然と語る。頭にきちんと地図が備わっているようだ。こんなふうに営業されたら思わず買ってしまうだろう。頭のいい人だ。そしてこんなに賢い人でも女性であるだけで下に見られる。給金での差別もある。身分の差もある。正直現在の日本の状況だと思った。二次大戦の足音が聞こえている中の作品であるが、三次大戦の気配をそこはかとなく感じながら読んだ。
2018/06/30
Masayuki Shimura
【三つの役割、一つの目的】月並な言い方になってしまいますが、いろいろと考えさせられることの多い作品でした。書簡による返答という形式をとっていることからも明らかなように、戦争を防ぐということに対して理路整然とした考え方が打ち出されている一冊というわけではないのですが、著者の並々ならぬ熱意と情念は読み手にはっきりと読み取れる作品です。
2018/03/21
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