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サルガッソーの広い海 (ジーン・リース・コレクション 1)

サルガッソーの広い海 (ジーン・リース・コレクション 1)

サルガッソーの広い海 (ジーン・リース・コレクション 1)

作家
ジーン・リース
Jean Rhys
小沢瑞穂
出版社
みすず書房
発売日
1998-11-01
ISBN
9784622046691
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サルガッソーの広い海 (ジーン・リース・コレクション 1) / 感想・レビュー

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遥かなる想い

本作は裏返された「ジェイン・エア」だそうである。 イギリスの植民地ジャマイカで、 「白いゴキブリ」と呼ばれ、疎外される 白人一家 アントワネットの人生を描く。 当時の植民地に生きた人々の複雑な感情が 読者に伝わる。 全編に潜む 侮蔑の感情が不気味な 作品だった。

2017/10/09

ケイ

再読。ジェーン•エアからこちらに再び戻ってきた。作品内ではジョージエリオット作品も登場しており、作者のジーン•リースは19世紀の女性作家が好みなのだろうか。さて、この作品だけを独立して読んだ際は、ある種の名作だとは思ったが、ジェインエアを思って読めば、作品としての格が歴然とあるように思う。ジェインの生き方があまりにも強く逞しかったからだろうか。もちろんコロニアル作家としての面を考えれば、単純には比べられないが、最初に怨念ありき…と感じ、入っていきたくない得体の知れない狂気ばかり強く思えた

2021/10/21

コットン

著者の本は『あの人たちが本を焼いた日』に続き二作目となるが、前作より読みやすい。ジーン・リースという作家、言い方は悪いが私生活なども含めて一見蓮っ葉な感じに見えるが文中に言葉の繰り返しや同じニュアンスを入れることで沈殿する感情の重みを作品に与え読むものを引きつける頭の良さがあるように思う。

2022/09/07

Shintaro

裏『ジェイン・エア』だそうだが、僕はまだ『ジェイン・エア』を読んでない。相当な先入観を持って、はたして『ジェイン・エア』を正しく読めるのだろうか。相当後回しになるな。本作はカリブの英領植民地での物語。主人公の幸福感や自己肯定感の希薄さは半端ない。とはいえ、ゲスなヒーロー、ロチェスターのアントワネットへの憎悪とDVぶりも半端ないが、動機に欠けると言わざるを得ない。植民地主義に全ての悪やサイコパスっぷりを押し付けるのは無理がある。本作はジーン・リースの、クレオールの積年の恨みと呪いがすべて込められているのだ。

2017/10/14

NAO

『ジェーン・エア』のロチェスター氏の前妻バーサ・メイソンの若かりし頃の物語。彼女は狂っているからと切り捨てるのは簡単だが、誰が彼女を、彼女の家族をそうさせてしまったのか。同じ白人同士なのにあとから入ってきた白人たちからは疎外され、黒人たちからさえ軽蔑されているクレオールである彼女の哀しい経歴。海中に生い茂るサルガッソーに絡み取られてしまったかのように奪い取られてしまった自由。美しい自然の中で、いっそう際立つ人間の残酷さ。繊細な文章で描かれる作者のバーサへの強い共感と哀惜の思いに、胸が熱くなる。

2016/10/31

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