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いちばん美しいクモの巣 (詩人が贈る絵本 II)

いちばん美しいクモの巣 (詩人が贈る絵本 II)

いちばん美しいクモの巣 (詩人が贈る絵本 II)

作家
アーシュラ・K・ル=グウィン
ジェイムズ ブランスマン
Ursula K. Le Guin
James Brunsman
長田弘
出版社
みすず書房
発売日
2002-01-08
ISBN
9784622047438
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いちばん美しいクモの巣 (詩人が贈る絵本 II) / 感想・レビュー

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KAZOO

色は非常に淡い感じの絵本なのですがこの本の話の内容にぴったりな感じです。作者のル・グインというと昔読んだゲド戦記のシリーズが思い出されます。一匹のクモがタペストリーのようなクモの巣を作り上げそれを人々が保管して皆が見に来てクモは自然の中へ戻っていくという話です。印象に残る話でした。

2017/02/17

pino

一色のみの背景に繊細な絵がストーリーに合っていて素敵です。おおっと思ったのは、クモを踏んじゃってよ。と言った女の人に別の女の人が、殺してはいけないと、窓の外に逃がしてあげた場面です。「幸運がにげちゃう」のだそうです。クモの迷信は外国にもあるんだと知ってニヤニヤしました。調べてみると、朝のクモは、神様のつかいだとか、金運を持っているとかの言い伝えがあるようです。クモがお城に作ったタペストリーは立派だけど、やはり、外に張ってある実用的な巣がいいです。クモの巣図鑑、探そう。まさにクモの巣に引っかかってしまった。

2012/09/11

ネギっ子gen

長田弘による「詩人が送る絵本」シリーズ。あのル=グウィンが書いた絵本。クモといえば、『ゲド戦記』では、生と死の間を自由に行き来し“永遠の生”を願った魔法使いとして登場したはず……。でも本作では、嫌われがちな蜘蛛は、本当はとても愛すべき生き物だと描かれる。蜘蛛のリーゼ・ウェブスターの夢は、世界で一番美しい蜘蛛の巣をつくること。リーゼは一生懸命、蜘蛛の巣を編み続ける。そうして出来上がったのが、蜘蛛の巣による見事なタペストリイーでした。だが、その「銀の織物」は人間に“芸術作品”と認定され、ガラスケースの中に――

2023/01/04

らぱん

これは柳宗悦が言う民芸に通ずる話だろうか。蜘蛛であるリーゼの生業は先祖から受け継いだ技術で伝統的なパターンを用い、せっせと蜘蛛の巣を作ることだが、ある時、逸脱する。タペストリーを真似て一幅の絵のような作品を作り始めた。寝食を忘れ大作に挑み完成する。直後にリーゼは災難により放り出され初めて外界を知る。自らの芸術作品は本来の蜘蛛の巣の役割である蠅を捕まえる機能を備えてはいない。必要に迫られ外界で作った実用的な蜘蛛の巣の朝露が日の光で輝く様子に、これこそが美であると悟る。井の中の蛙とも言える・・・蜘蛛だけどね。

2019/10/22

たーぼー

かつて鎮座した大いなる威光も今や昔。闇と埃に覆われた王の城でクモのリーゼは自らの至上の美を表現せんと恐るべき芸術世界に没入する。クモの視点から芸術の歓びと、生きるための真実を人間に問う物語に暫し打ち震えた。自然の中のありふれた光景が、どんな技巧よりも生命の輝きを放つ。その永遠の刻印を最後に見出した心こそが、最も美しく尊いと感じる。でも、けして物語は人間の芸術への関心を嘲笑し責めてはいない。この美を後世まで伝えんとする人間の努力によって見事なタペストリーは『いちばん美しいクモの巣』として生き続けるのだから。

2016/12/24

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