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翼よ、北に

翼よ、北に

翼よ、北に

作家
アン・モロー・リンドバーグ
Anne Morrow Lindbergh
中村妙子
出版社
みすず書房
発売日
2002-08-01
ISBN
9784622048688
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翼よ、北に / 感想・レビュー

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とよぽん

1931年7月から10月にリンドバーグ夫妻が北太平洋調査飛行をした時の旅行記。1935(昭和10)年に出版され、同年末に邦訳も出た。今から85年前の旅行記だが、2002年に新たな訳出をした中村妙子さんの訳が巧みで、とても読みやすい名文だった。そもそも、なぜ東洋へ? それは、当時、欧米の国から見た東洋は非常に魅力的で神秘的な世界だったから。そして、アン・モロー・リンドバーグは夫と共に単葉のシリウス号で前人未到の調査飛行へ。表紙の写真がとても素敵。先入観をもたず、自分の見たまま感じたままの記録が貴重。

2020/06/30

まーくん

著者はリンドバーク夫人。夫とともにシリウス号に搭乗、大圏航路で東洋を目指す。著者20代のみずみずしい文章に魅了される。1931年7月、ニューヨークを飛び立った機はハドソン湾西岸を北上、アラスカ北岸を回り、千島列島を経て日本へ。暫時滞在の後、中国・南京へ飛び、洪水調査のため漢口まで。辺境の人々の暮らしや日本の文化にも触れた本書は彼女のデビュー作となった。この旅の後、夫妻は誘拐事件により幼い長男を喪う。その想いからか、幼子を亡くした母の気持ち綴った日本の俳句を引用。「とんぼ釣り 今日はどこまで 行ったやら」。

2018/08/24

ぶんこ

リンドバーグ氏は、やんちゃで細かい事に拘らず、婦人は、まるで大和撫子のようでした。NYから北へ向かい、アラスカのてっぺんへ。Google地図を見ながら読みました。なんでまた辺境を選んで行くのかなぁと、ため息が出るようなコースでした。辺境にも暮らす人々がいて、新鮮な野菜や新聞に飢えているのを知ったり、面白い。ついに日本に到着し、礼儀正しさと、生活の隅々から芸術を生み出す日本人に感嘆していました。そして揚子江の大氾濫で、餓えて暴徒化した人々に、威嚇の発砲をする夫。日本人である事に誇りを感じる本でもありました。

2014/06/09

ぱせり

この旅のあとに夫妻を惨たらしい事件が襲うのだ。そしてこの本の二年後には第二次世界大戦が始まる。なんともやりきれない。この記録がいっそう美しくかけがえがない、とも感じられる。寄港地ごとの忘れられない人びとや出来事の記録には、言葉にする必要もない真心が、あちこちで名もないままに小さな光を放って居る。何と美しいのだろう。

2016/03/15

rabbitrun

黎明期の空の旅を綴った珠玉のエッセーで、サン=テグジュペリの作品と印象が重なる。当時、大空から下界を見下ろすことは選ばれた人だけが味わうことのできる特別な体験だったはずだが、二人の文章を読むとなぜ彼らが選ばれたのか納得がいく。二人とも物事を俯瞰する能力は天性のものであり、それが飛行機という翼を得て遺憾無く発揮されたのだと感じる。とくに本書の結びで、空を飛ぶことは高みから人生を眺めることであるという著者の洞察は鋭く、驚きと感動を覚える。

2012/06/16

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