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灰色の魂

灰色の魂

灰色の魂

作家
フィリップ・クローデル
高橋啓
出版社
みすず書房
発売日
2004-10-22
ISBN
9784622071143
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灰色の魂 / 感想・レビュー

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metoo

第一次大戦、ドイツ近くのフランスの田舎町、10歳の美しい少女が殺された。謎解きのようなスタイルを取りながらも、事件が目の前で起きたにも拘らず、結局のところ無力に終わり、大切な人までも失ってしまった警官の一人語りだ。城に住む検察官は妻を若くして亡くし、若く美麗な教師は謎の死を遂げる。ブーラッシュは娘を亡くし、そして、表紙絵に予告された通りの結末だが、それは決定的な悲哀というよりむしろ必然。戦争も、大切な人を亡くした人も、全てが灰色、魂までも。

2017/07/01

ヘラジカ

「低き声で語れ」――装丁もさることながら帯のキャッチコピーがとても良い。この宣伝文句に惹かれる読書家は少なくないはず。読み終えた直後放心するくらい響いた小説だったが、敢えて感想は時間をおいてみた。やはり今も依然として、あの灰色がかった情景は心にこびりついている。灰色、文章も物語も舞台も、結末さえも灰色一色。黒でもなく白でもなく、一見して心愉しいエピソードすらも、全て灰色の靄で覆われている。印刷された単なる黒い文字が、読む者には紛う事なき一色の色として認識される凄さ。一文一文ここまで無視できない小説も珍しい

2013/07/23

umeko

暗澹とした思いに圧倒される。物語の重い灰色の雰囲気も好き。何かの機会に再読したい。

2010/07/14

yuki

帯にあるように、本当に「哀切」な物語でした。戦争の影に覆われる中で、登場する人物たちがすべて「灰色」です。罪を犯し罪を隠して生きた人たち。重層的に描かれる人間の姿を追いながら最後まで一気に読みました。

2020/02/17

聖月

▲香りたつお仏蘭西の香水は、評者の鼻にはどうもイマイチだったのである。核心に触れず、どこか芒洋としているし、フランスといえばアラン・ドロンやジャン・ギャバンのギャング映画くらいしか思い浮かばない評者には、どうも曇天でノワールな雰囲気が息苦しいのである。もしかしたら、本書は文学の香り漂うミステリーなのかもしれないが、『リール』も『エル』も知らない倭国人たる評者には、カタツムリや鳩を喰らう人々の感性は沁みこんでこなかったようである。ついでに言えば、ミッシェル・ポルナレフの歌は好きだった、けど、本書には何も関係

2005/03/08

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