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余りの風

余りの風

余りの風

作家
堀江敏幸
出版社
みすず書房
発売日
2012-12-04
ISBN
9784622077404
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余りの風 / 感想・レビュー

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KAZOO

堀江さんの小説やエッセイは文庫で結構読んでいるのですが、ハードカバーの本で本格的な文芸評論集は初めてでした。専門雑誌などに発表されたものが多く、また対象の文学者も比較的マイナーな感じの人物が多く、読むのに時間がかかりました。古井由吉だけは読み返してみようという気になりました。

2014/12/07

踊る猫

堀江敏幸は侮れない。なかなか読みこなすことのできない古井由吉『仮往生伝試文』を読みこなし、藤枝静男やレダを読みこなす。しかし、堀江敏幸の中にある「この作品に惹かれる私」を徹底して消去して分析に徹する身振りに騙されてはならない。なぜそんな作品を読み、なぜ惹かれるのか。そこに目を向けて読むと、きっと違った読みの可能性が見えてくるのではないか。私はそこまでこの本を(というより、堀江の仕事自体を)読みこなせていない。注意して読めば結構強引な読みや解釈が目立つので、この作家の狂気を一度なにかの形で読み解いてみたい!

2021/01/27

壱萬参仟縁

大切なのは、ふたりという単位。 ひとりずつの孤独があって、 ふたりだけの孤独になる(41頁)。 秋で人恋しい季節なら余計に。 昭和11年、小山清は島崎藤村の 紹介を得て日本ペンクラブ の書記を得ながら公金を使い込み、 8カ月間の刑務所暮らし(51頁)。 この小山というやつは藤村先生の 顔に泥を塗ったひどい奴。  

2014/10/17

多聞

古井由吉、藤枝静男、小島信夫、田村隆一、須賀敦子、ゼーバルト、ソレルスなど作家にまつわるエッセイ集。モノへの愛情を綴り、どことなくとぼけた姿を普段見せるエッセイとは異なり、堀江敏幸は作家たちを丁寧に見据えていく。彼らの足跡を、ゆがみを、そして「余り」を。自分が読んだことのある作家の新たな一面に気づき、まだ知らぬ作家の魅力を知ることができた。これからはゆがみや余りにも目を向けていきたいと思う。

2013/02/16

リタ

書評、と簡単に言ってしまうことのできない本でした。様々な文芸作品への批評であると同時に、堀江さん自身の生み出す言葉が二重写しになって紡がれているからです。文学作品には、“確かに存在するのに言葉として文章にされなかった部分”がある。そしてその“余り”の部分にこそ、大切な何かがこぼれている。だとしたら、この本自体が“余りの風”なんじゃないかなと思いました。作品が持つ見えない部分を、堀江さんの言葉が差し出してくれている。私たちはその風に甘えて、物語を深く感じることができるのです。これは、彼の、風のかたちです。

2015/02/20

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