エイズの起源
エイズの起源 / 感想・レビュー
山口透析鉄
市の図書館本で熟読しました。 かつての優れたTV番組でもハイチの血液製剤等の問題(売血から生成された)とかは見ていましたが、この本はアフリカの歴史と植民地支配の諸問題、社会学や分子生物学(分子時計等)の最新の成果も踏まえた非常に網羅的な本で、読んでためになる良書でした。さすがみすず書房、ですね。 都市化と地域社会の破壊、売買春行為、不適切な医療行為等、今でも通用する諸問題が多々出てきて、やはり今の新型コロナパンデミックと重なる部分が少なからずありました。 翻訳された山本太郎氏の著書も読みたいですね。
2023/01/29
壱萬参仟縁
感染症。27頁のアフリカの地図によると、HIV-1遺伝子の多様な分布が理解される。チンパンジーは生涯、20~50平方キロメートルで過ごすとのこと(32頁)。6頭のオスが10分間に1頭のメスと交尾とは脅威(34頁)。感染伝播。乱交が原因なのだろう。ヒトへも伝播した原因は? HIV-1は種越感染が4回(73頁)。類としての人間にも感染するルートはあるのだろう。ヒトとツェゴチンパンジーは中部アフリカで共存、数百年間に何回か種越感染があったと指摘(86頁)。エイズは不平等と関係(310頁)。パンデミックの脅威が。
2013/09/02
塩崎ツトム
HIVがいかにしてベルギー領コンゴ(現・コンゴ共和国)で蔓延し、南北アメリカやアフリカ大陸全土へ広がったかの道程を、植民地時代からの人口移動などの豊富な統計データから導き出す。エイズにはさまざまな陰謀論がつきまとってきたけど、真実を語るにはこれだけの紙面と労力が必要になる。
2018/06/30
yooou
☆☆☆☆★ 人類未曾有のパンデミックは植民地主義で広がる格差と医原病が最悪な形で重なり、誤った知識が差別を助長したことで生まれたものだった。この話から学ぶものはあまりにも大きい。人類はこうした事態を繰り返さないようになれるのだろうか。
2013/08/17
ジコボー
2900万の人々を死に追いやったエイズ蔓延の原因は、当時の中央アフリカの社会変化、そして注射器が大きく関係していたそう。起源はボノボ。サルから人間への移植。人体実験。奴隷貿易。難民たちの売春。と暗く悲しい、読むのが辛くなってくる様な本でした。 そして蔓延の最大の原因は、注射器。当時、注射器の使い回しは当然の様に行われていました。それが原因になるとは思いもしなかったのだそう。善意の下に行われた欧米の介入。理解せぬまま、それを操作しようとしたとき予期せぬ悲劇が起こる。人類の最大の脅威は人類そのものなのです。
2019/12/08
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