長田弘全詩集
長田弘全詩集 / 感想・レビュー
KAZOO
最近長田弘の「世界は一冊の本」という詩集が読まれているので、図書館から全詩集を借りてきて読んでみました。わかりやすい詩やエッセイが収められていてこの本を手元に置きたくなりました。その中の「ファーブルさん」というのは楽しめました。それ以外にも詩とは言えないのですが「記憶の作り方」というエッセイと詩が収まっているところは非常に興味深い文章が多いのですがとくに「雨の歌」が目でも楽しめました。
2016/05/22
masa@レビューお休み中
図書館にあると知って手にした。詩人・長田弘の50年の軌跡が記されている。詩人のすべてがここにあるためか、とにかく重い。溢れんばかりの言葉の波、感情の渦が襲いかかってくる。あるときは平易に、あるときは哲学的に、またあるときは観察日記のように…。言葉というのは、これほどまでに変幻自在に操れるものなのかと感嘆の息が漏れてしまう。詩というものの素晴らしさ、長田弘の言葉の力を改めて感じることができて良かった。溺れるように詩を読みたい。没入するように詩を詠みたい。
2016/12/04
踊る猫
語り過ぎないこと、生き急がないこと。生活を日々手堅くこなし、そこから見えてくるものや立ち上がる事柄に目を向けること。この詩人はそんな、地味だけど大事な要素について書いているように思う。でもぼくたちの生活はそれ自体、なんでもないことに耳を傾け目を凝らし、生きて楽しんで死ぬという奥義を極めることなのではないか。長田弘はそんな奥義が基礎的な生活の中にこそ秘められていると語るかのようだ。書くことをいたずらに美化するのではなく、散歩道の考察をそのまま言葉にしたかのような詩は(もちろん褒めてます!)今でも仄かに温かい
2020/07/20
白玉あずき
詩集はこのような厚くて重いものではなく、ソフトカバーでポケットに入るようなサイズがよろしい。いつも持ち歩き、興が乗ったときにパラパラめくれるように。小説のように最初から最終ページまで順に一所懸命読んでいくなんてありえないので、気分に合わせて選んで読んでいたが、返却期限が来たので仕方ない返してあげようかな。ぐすん。意図して平易な言葉を用い、深い感情を表現する力が素晴らしい。血気盛んな若い方には物足りぬ世界かもしれないが、「受容」「寂寥」「諦念」に覆われた死者との交感が特に良かった。是非味わって下さい。
2016/09/05
遠い日
詩人の紡いだことばの後を追う。詩人の放ったことばの軌跡を見る。それが詩人の生きた証と信じて、文字を追う。この世界とたったひとりで対峙する凛とした姿が浮かぶ。木にも石にも命を見る人は、どんなふうにこの世の理不尽さに堪えていたのだろうか。静かな闘い、諦めない強さ、改めて感じるそんなことども。
2015/11/05
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