私の見た人 (《大人の本棚》)
私の見た人 (《大人の本棚》) / 感想・レビュー
relaxopenenjoy
田中正造から始まり、高浜虚子、菊池寛、久米正雄、近松秋江、徳田秋声、与謝野晶子、直木三十五、中谷宇吉郎、湯川秀樹夫妻、竹久夢二、宮城道雄、その他、尼僧さん、女優さん、歌舞伎俳優さん、声楽家さん、相撲力士さん、中国政府要人、軍人さん、棋士さんなど。なかなか面白かったです。吉屋信子小説は未読だけど、仕事柄で色々な人との対談や座談会の司会、旅行や訪問を通じての思い出。著者の人柄がにじみ出ている。「女流文壇…」も読みたい。
2022/09/29
飼い猫の名はサチコ
みすず書房の大人の本棚のシリーズは、当たりの本が多い。吉屋信子さん初読で入手したもの。吉屋さんのフィルターを通して、令和に生きる自分が会えるはずのない、与謝野晶子や新渡戸稲造等、50人を超える歴史上の人物に触れられる作品。元々は昭和38年に朝日新聞学芸欄に連載されていたそうだが、古臭くなく、今読んでもみずみずしく時を超えて人々の横顔や魅力を伝えてくれる。ありがとうという気持ちが湧いた一冊。
2022/11/18
ni-ni-
著者が出会った人たちについて綴った人物エッセイ。これが意外にもとても面白かった。出てくる人物の凄さにも驚くが、なんといっても信子自身の人柄がこのエッセイで一番興味深い所だった。少女小説のイメージでもっと頑なな人かと思っていたが、緊張しいで押しに弱いちょっとおっちょこちょいな人という感じ。群ようこのエッセイが好きな人はこれも楽しめると思う。それにしても、作家業だけでなく座談会などの司会業を多くこなしていたとは知らなかった。
2011/08/05
あきこ
このエッセイは尋常でない。登場している人物が大物過ぎるし、この時代に女性としてここまでの仕事をこなしたことが普通ではない。その二重の凄さが重なって、歴史を垣間見るような気持になるのである。ただし内容は日常の延長のような普段着の姿、と言おうか人柄が垣間見られるものばかりであった。またそこが余計に興味深く読んでしまう。太平洋戦争を挟んだこの時代だからこそのエピソードも多い。どんな相手にも真摯に向き合い、感じたことをそのまま聞かせてくれている。
2019/03/12
はちみつ
ちょっと成功した人にありがちな、自慢気なところを微塵も感じません。この人柄が出会った人々の心を開き、世に知れ渡った顔とは異なる、素の側面を引き出して豊かな内容になっています。「私、こんな人に会っちゃった」と自慢するでもなく、九条武子氏の章では口紅売り場で再会して、気づかれないようにコソコソ隠れようとする小心な著者に親近感を感じます。竹久夢二に向けた優しい気づかいなど、興味深い方々がたくさん登場しますが、それ以上に吉屋信子という作家の人柄が読み手の心も優しくしてくれるような一冊です。
2017/11/24
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