失われたもの
失われたもの / 感想・レビュー
おさむ
ジャーナリスト斎藤貴男さんのエッセー集。新自由主義や消費税への厳しい眼差しで知られる彼の姿勢は、庶民の視座を徹底しているので(時にやや偏りすぎかなとも感じますが)説得力があります。反骨心にはシベリアに抑留されて帰国後は池袋で鉄屑やを営んでいた父親の影響があるんですね。父が息子に及ぼす影響はやはり大きいのでしょう。たしか評論家の小熊英二さんの父も抑留経験者でした。
2017/04/02
どら猫さとっち
マイナンバー制度、東京電力、消費税などの欺瞞と正体を描き出すジャーナリストが、自身の過去とその時代を振り返って、そして現在を見つめる初のエッセイ集。いわゆる「三丁目の夕日」的なノスタルジーに浸って描くのではなく、静かにときに批判を込めているのが、ジャーナリストである著者らしい。それでも、社会批判の精神は伺える。愛憎を込めた昭和と激しく動く平成の時代のなかで、“失われたもの”。それは、今我々が必要とするものではないだろうか。
2017/02/26
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