転移の心理学【新装版】
転移の心理学【新装版】 / 感想・レビュー
Gotoran
ユングが錬金術の考え方をもとに転移について縦横に論じていく。16世紀の錬金術の書『哲学者の薔薇園』にある10枚の挿絵を示しながら転移現象を論じる。変容の場「メリクリウスの泉」を皮切りに新しい全体性の成就の挿絵10遍目「新たな誕生」へと至る。これらは、対立物が結合する錬金術過程を示し、転移が進行していく過程でもあると云う。また転移という名の個性化過程でもあると云う。心理療法における転移と逆転移について学ぶことができる。難解さを伴うものの非常に興味深く読むことができた。
2021/05/02
roughfractus02
患者が分析医に過去の人達との関係を重ねる転移と分析医が患者に同様の関係を重ねる逆転移は、互いの関係を固定することで生じる。著者は分析医の自己分析と患者との対話から、過去に抱いた感情が現在に投影される理由を検討し、治療過程に組み込む。その際著者は「対立物の統合」の過程を描いたとする錬金術の『哲学者の薔薇園』の10枚の絵をその象徴として示す。過去の感情を現在へ投影する性向は、両者を固定する主体への執着に起因する。錬金術は主体はなく主観の変化があると教える。(河合隼雄は禅の『十牛図』との類似性を指摘している)。
2021/06/19
rootstock1998
最後まで目を通した、という意味で読了。これは 見た ということであった理解を伴う、読んだというのとは別な気がする。その中でも、ここは特に面白いという箇所。 『より少ないものがより多くのものを意味することも稀ではないという真理』この言葉に導かれ紐解こうとしているのだと思う。
2018/01/08
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