幼年の色、人生の色
幼年の色、人生の色 / 感想・レビュー
Gotoran
優しい柔らかな言葉で飾らずに等身大で綴られた、深い洞察に満ち溢れた数々の文章。幼・少年時の記憶、漢詩の魅力、米国旅行でのエピソードや感じたこと、ボブ・ディラン、クラシック音楽、猫や人との出会いと惜別・・。5章立てで、生前晩年に自ら選んで編んでいた最後のエッセイ。冒頭の表題『幼年の色、人生の色』、「ふみよむあかり」、「二十一世紀の『草の葉』」、「はじまりは流浪の旅」、最後の「じゃあね」が特に印象深かったが、全編を通して著者の人となりを十二分に感じることができた。
2017/12/10
けんとまん1007
「深呼吸の必要」出会って以来、何冊かの詩集やエッセイ・評論を読んできた。長田弘さんは、自分の中でますます大きな存在になっている。穏やかな空気を感ずるだけではなく、奥行きを感ずる。その背景にあるものが、垣間見える。何気ない時間の中で、何を感じ、何を観て、何を考えるのか?そんな時間を、持ちたいと思う。
2020/04/23
しゃが
昨年、逝ってしまわれた長田さんの最後の自選エッセイ集。幼年の大切な記憶、漢詩からの触発、北米への旅、動物、そして詩が語られる。それは硬質で社会への的確な眼差しのイメージではなく、長田さんを育んだもの、福島のこと、好きだった場所、本、言葉が詰まっている。そこには慈しみと優しさにあふれていた。終わりの思いが知りたくて、実は終わりの篇から読んでしまった。「友人」という言葉が意味するものが語られ、人との出会いと別れが亡くなってしまった友人の「じゃあね」に凝縮され、読み始めから、静かな感動があった。
2016/12/12
もも
図書館本。表紙と題名を見てなんとなく借りたものでしたが、素敵な本でした。これを書いた長田さんは自然など日常の中に当たり前にあるものに目を向けていて、それが本当に素敵。自分は全く意識したことのなかったことも書かれていて、なるほどと思うことも多かったです。長田さんがもう亡くなられたということは読み終えた後に知りました。新作を読めることはないけれど、これまでに出された作品を読もうと思います。
2017/02/14
あこ
長田さん自選エッセイ集。読友さんのレビューで著者を知り本書が2作品目。本、漢詩、旅、音楽、思いがけず猫ちゃんのお話まで。著者はすっかり忘れていた過去の記憶を不思議と思い出させてくれる一人。
2018/01/27
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